フードバンク

フードバンクとは

フードバンクは、食品ロスを削減しながら、生活困窮者を支援する活動です。具体的には、まだ食べられるにも関わらず、様々な理由で市場に流通できなくなった食品を企業や個人から寄贈してもらい、それを必要とする人々に無償で提供します。

フードバンクの仕組み

食品メーカーやスーパーマーケットなどからは、包装の不備や賞味期限が近いといった理由で、まだ十分に食べられる食品が廃棄されることがあります。フードバンクは、これらの食品を企業から寄贈してもらい、生活困窮者支援を行っているNPOや福祉団体などを通じて、必要としている人々に届けます。

フードバンクが提供する食品は、生活困窮者の食料支援だけでなく、児童養護施設やDV被害者シェルター、子ども食堂など、様々な場所で活用されています。

フードバンクの歴史

フードバンクの活動は、1960年代のアメリカで始まりました。食料が大量に廃棄されている一方で、飢餓に苦しむ人々がいるという矛盾を解決するために、ジョン・ヴァン・ヘンゲルという人物が、スーパーマーケットから廃棄される食品を寄贈してもらう活動を始めたのがきっかけです。

その後、フードバンクの活動は世界中に広がり、ヨーロッパやアフリカ、アジアなど、様々な地域で設立されるようになりました。

日本のフードバンク

日本で初めてフードバンクが設立されたのは2002年です。元アメリカ海軍の軍人であったチャールズ・E・マクジルトンが、日本における食品ロスの現状を知り、フードバンクの必要性を感じて設立しました。

現在では、日本全国に100以上のフードバンク団体があり、それぞれ地域に根ざした活動を展開しています。

フードバンクの課題と対策

フードバンクの活動は、食品ロス削減と生活困窮者支援という、2つの重要な社会課題の解決に貢献していますが、いくつかの課題も抱えています。

食品の安全性の確保: 寄贈された食品の中には、賞味期限が近いものや、品質に問題があるものが含まれている場合があります。フードバンクは、食品の安全性を確保するために、徹底した品質管理を行っています。
不正利用の防止: フードバンクから提供された食品が、転売されたり、不正に利用されたりするケースがあります。フードバンクは、不正利用を防止するために、利用者に対して食品の適切な利用方法を指導したり、定期的なモニタリングを実施したりしています。

フードドライブとは

フードドライブとは、家庭で余っている食品を学校や職場などに持ち寄り、それらをまとめてフードバンクに寄付する活動のことです。フードドライブは、手軽にフードバンクの活動に参加できる方法として、近年注目を集めています。

まとめ

フードバンクは、食品ロスを削減しながら、生活困窮者を支援する、非常に意義のある活動です。食品ロス問題への関心が高まる中、フードバンクの役割はますます重要になっています。私たち一人ひとりが、食品ロスを減らすとともに、フードバンクの活動を支援することで、より良い社会を築いていくことができるでしょう。

*参考文献
大原悦子『フードバンクという挑戦 -貧困と飽食のあいだで-』岩波書店、2008年。ISBN 978-4-00-024644-6。

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