ブレーキパッド

ブレーキパッド：安全な走行を支える重要な部品

ブレーキパッドは、自動車のディスク[[ブレーキ]]において、ブレーキローターに接触して制動力を生み出す重要な消耗品です。ブレーキをかける際に、ブレーキキャリパーによってパッドがローターに押し付けられ、摩擦によって車両の速度を落とします。ドラム[[ブレーキ]]の場合は、ブレーキシューという別の部品が使用されます。

ブレーキパッドの素材と製造方法

ブレーキパッドは、10種類以上の素材を組み合わせた複合材料で構成されています。主な製造方法は、レジンモールド材と焼結材の2種類があります。

レジンモールド材は、スチール繊維、ケブラー、セラミックファイバーなどの骨格材、コークスやグラファイトなどの潤滑材、金属酸化物などの研削材、そして樹脂（フェノール樹脂）を混ぜ合わせて成型、硬化させたものです。長寿命でダストが少なく、広い温度範囲で安定した制動力を発揮しますが、高温下では樹脂が分解し、制動力が低下するフェード現象が起こりやすいという弱点があります。そのため、乗用車や二輪車など、比較的負荷の少ない用途に多く用いられています。

焼結材（シンタード材）は、金属（銅系合金、アルミ系合金）、研削材、潤滑材などを高温で焼結させて作られます。高温での制動力の安定性と耐摩耗性に優れているため、新幹線やレーシングカーなど、過酷な条件下で使用されるブレーキパッドに用いられています。しかし、ローターへの攻撃性が高く、低温下では制動力が弱まる傾向があります。

かつては耐熱性からアスベストが使用されていましたが、発がん性のため1990年代以降は使用が禁止されました。現在では、スチール繊維、セラミックファイバー、ケブラーなどが代替材料として使用されています。

金属の割合が多いほど制動力は向上しますが、ブレーキ鳴きが発生しやすく、ローターの磨耗も早まります。そのため、メーカーは制動力、経済性、ローターの耐久性、用途などを考慮して、最適な材料配合を設計しています。

ヨーロッパ車のように平均速度が高い地域では、制動力の高さを重視し、金属割合の高いパッドが使用される傾向があり、ローターの交換頻度も高くなります。一方、平均速度が低い日本では、長寿命で低温でも効きがよく、ダストの少ないパッドが好まれる傾向があります。

ブレーキパッドの摩耗警告

ブレーキパッドの摩耗状況を知らせる警告システムとして、ウェアインジケーターがあります。

可聴式ウェアインジケーターは、パッドが磨り減ると、金属製のピンがローターと接触して金属音を発生させ、運転手にパッド交換の必要性を知らせます。この音は、パッドの摩耗が進んで音が消えてしまう場合がありますが、注意が必要です。

電気式ウェアインジケーターは、パッドに埋め込まれた電線がローターと接触することで電気信号を発生させ、警告灯を点灯させます。高級車に採用されることが多いです。

しかし、全てのブレーキパッドにウェアインジケーターが搭載されているわけではありません。定期的にパッドの残量を目視で確認するか、別途ウェアインジケーターを取り付ける必要があります。

パッドの摩耗が限界を超えると、パッドが脱落したり、金属地肌がローターに接触したりして、ブレーキシステムに深刻な損傷を与え、高額な修理費が必要となる可能性があります。そのため、定期的な点検と早めの交換が重要です。

また、ブレーキパッドは油脂を吸収するため、油などが付着すると制動力が低下します。フェード現象で過熱したパッドも、表面の材質が変化するため、研磨するか交換する必要があります。

その他の種類

リムブレーキ用のブレーキパッドもあります。

まとめ

ブレーキパッドは、安全な運転に欠かせない重要な部品です。材質、製造方法、摩耗警告システムなど、様々な要素が性能に影響を与えます。定期的な点検と交換を怠らず、安全運転を心がけましょう。

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