ヘビトンボ

ヘビトンボ（Protohermes grandis）

ヘビトンボは、ヘビトンボ目に属する昆虫で、またその分類群を指して「ヘビトンボ」とも呼ばれます。日本国内では北海道から九州および対馬、屋久島、種子島にかけて広く見られ、さらに中国や韓国、台湾、タイなどでも確認されています。この種は特に大きな体を持つことが特徴的で、成虫はおおよそ40mmの体長を持ち、羽を広げると約100mmに達します。これは同類の昆虫の中でも比較的大きな部類に入ります。

特徴

ヘビトンボの特徴としては、乳白色の翅と大きな大顎があります。この大顎は咬む力が強く、固い物体を噛み砕くことができるため、その咬みつきの力は非常に強力です。また、成虫の単眼の基部は黒色をしており、その見た目が印象的です。和名の「ヘビトンボ」は、その大顎で噛みつく様子が蛇に似ていることから名付けられました。

成虫は広葉樹の樹液を主に摂取しており、特にナラ類からの樹液を好みます。

幼虫の生態

ヘビトンボの幼虫は清流に生息し、体は細長く、頑丈な頭部を持ち、発達した顎を有します。特に腹部には体節ごとに一対の鰓足が見られ、水中での呼吸を補助します。幼虫の生育環境は清浄な河川の中流域であり、そこでは他の水生昆虫と共存しながら成長します。幼虫は肉食性が強く、近くに他の水生昆虫がいると、その存在を消してしまうことがあるため、その生態は「川ムカデ」とも称されることがあります。

成虫になる前は、幼虫は岸に這い上がり、石の下などで蛹化します。蛹は成虫と同様に大顎を持ち、同じ環境にいる他の蛹と争う習性があると言われています。

利用

ヘビトンボの幼虫は古くから「孫太郎虫」と呼ばれ、民間薬として利用されてきました。具体的には、子供の疳に効くとされており、宮城県白石市では特産品として知られていました。江戸時代には、地域の人々がそれを調理し、酒の肴とする文化もあったとのことです。1930年代までは「奥州斎川名産孫太郎」として行商されていたと記録されています。

また、長野県伊那市付近では幼虫をざざむしの一種として食用にする文化もあります。

成虫は夜間に灯火に引き寄せられることが多く、その姿を見ることができます。

まとめ

ヘビトンボはその大きさや独特な生態から、日本国内外で興味深い存在であることは間違いありません。昆虫ファンや生物学者にとって、彼らの生活史や生息環境は研究の対象としても魅力的です。大顎を持つ幼虫や成虫の姿は、そのユニークさと相まって、観察の価値が高い昆虫の一つといえるでしょう。

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