ペリクリーズ

ペリクリーズ（Pericles, Prince of Tyre）

ウィリアム・シェイクスピア作の戯曲『ペリクリーズ』は、彼の初期のロマンス劇の一つとされています。この作品は、他の劇作家との共作であるという説もあり、「ファースト・フォリオ」（1623年）には収録されていません。1608年に初演され、1609年には初版本が出版されました。

主な登場人物

ジョン・ガワー: 物語の語り手であり、古の詩人。
ペリクリーズ: タイアの領主であり、物語の中心人物。
タイーサ: ペリクリーズの妻となるペンタポリスの王女。
マリーナ: ペリクリーズとタイーサの娘。
アンタイオカス: アンタイオケの王。
クリーオン: ターサスの太守。
ダイオナイザ: クリーオンの妻。
サイモニディーズ: ペンタポリスの王であり、タイーサの父。
セリモン: エフェソスの医者。
ライシマカス: ミティリーニの太守

あらすじ

物語は、古の詩人ガワーによって語られます。タイアの領主ペリクリーズは、アンタイオケの王女との結婚を望みますが、彼女が父親であるアンタイオカス王と近親相姦の関係にあることを知ってしまいます。この秘密を知ったペリクリーズは、アンタイオカス王の刺客から逃れるために旅に出ます。

旅の途中、ペリクリーズは数奇な巡り合わせでペンタポリス（リビア）の王女タイーサと出会い、結婚します。タイアへの帰国の航海中、タイーサは娘マリーナを出産しますが、出産時に命を落としてしまいます。ペリクリーズは、タイーサの遺体を棺に入れ、海に流します。

幼いマリーナをターサスの太守クリーオンに預け、ペリクリーズは自分の国に戻ります。一方、タイーサの棺はエフェソスに流れ着き、医者セリモンの手によって蘇生します。タイーサはエフェソスで巫女として生きることを決意します。

ターサスで成長したマリーナは、海賊に誘拐され、売春宿に売られてしまいます。娘の死を知らされたペリクリーズは、失意のうちに再び旅に出ます。旅の途中で、ペリクリーズはミティリーニで売春宿に売られていたマリーナと偶然再会を果たします。

女神ダイアナの導きでエフェソスにたどり着いたペリクリーズとマリーナは、そこでタイーサと再会します。マリーナとミティリーニの太守ライシマカスの結婚も決まり、物語は感動的な大団円を迎えます。

作品の背景

『ペリクリーズ』は、シェイクスピアのロマンス劇の中でも特に初期の作品とされており、その複雑な構成や、神の介入といった要素が特徴的です。この作品は、人生の苦難や試練、そして家族の絆の大切さを描いています。

関連項目

T.S.エリオットの詩「マリーナ」は、『ペリクリーズ』の登場人物を引用しています。

日本語訳

坪内逍遥訳 早稲田大学出版部 1927
御輿員三訳『世界古典文学全集 第46巻 (シェイクスピア 第6) 』筑摩書房 1966
小田島雄志訳 白水社 1979 のち白水Uブックス
松岡和子訳 ちくま文庫 2003

外部リンク

劇団シェイクスピアシアター

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