ホールデン・コモドア

ホールデン・コモドア：オーストラリアを代表する車の歴史

ホールデン・コモドアは、オーストラリアの自動車メーカー、ホールデン（ゼネラルモーターズの子会社）が1978年から2020年にかけて製造・販売していた乗用車です。5世代にわたるモデルチェンジを繰り返し、オーストラリアの自動車文化を象徴する存在として、長年にわたり高い人気を誇りました。この記事では、コモドアの歴史、各世代の特徴、販売状況、そしてモータースポーツにおける活躍について詳細に解説します。

1. 初代コモドア (1978年-1988年)

初代コモドアは、ホールデン・HZキングスウッドの後継車種として1978年に登場しました。GMのVプラットフォームをベースに、オペル・レコルトのボディシェルを改良。オーストラリアの厳しい道路環境に対応するため、ボディ剛性の強化に1億1,000万オーストラリア・ドル以上の開発費用が投じられました。

初代モデルのバリエーション

VB (1978-1980): レッドモーターと呼ばれる赤いエンジンカバーが特徴。直列6気筒とV型8気筒エンジン、4速MTと3速ATがラインナップされ、1979年にはオーストラリアで最も売れた車となり、ホイールズマガジン誌のカーオブザイヤーを受賞しました。
VC (1980-1981): エッグクレートグリルを採用したマイナーチェンジモデル。ブルーモーターと呼ばれる青いエンジンカバーの新型エンジンを搭載し、燃費が向上しました。
VH (1981-1984): ホライゾンタルフラットグリルを採用。1.9Lと2.85Lエンジンの燃費が向上。スポーツモデルのSSが追加され、コモドアの主力モデルとなりました。
VK (1984-1986): プラスチックバンパーと6ウインドウデザインを採用。エンジンラインナップが変更され、モータースポーツでも活躍しました。ニュージーランドでも生産・販売されました。
VL (1986-1988): 流線型のデザインを採用。オーストラリアの規制強化により、日産製の直列6気筒エンジンを搭載したモデルが登場しました。V型8気筒エンジンは「V8s 'til 98」キャンペーンによって生産継続が決定しました。

2. 2代目コモドア (1988年-1997年)

2代目コモドアはフルサイズセダンにクラスアップ。オペル・セネターおよびオペル・オメガをベースに、全長と全幅が拡大されました。

2代目モデルのバリエーション

VN (1988-1991): アメリカ製のビュイックエンジンをベースとしたV型6気筒エンジンを搭載。ホイールズマガジン誌のカーオブザイヤーに選出されました。
VP (1991-1993): エクステリアデザインが変更され、V型6気筒エンジンの出力が向上しました。
VR (1993-1995): 流線型のデザインと、ABSや運転席エアバッグなどの安全装備が強化されました。ホイールズマガジン誌のカーオブザイヤーに選出されました。
VS (1995-1997): マイナーチェンジモデル。新設計のビュイック製V型6気筒エンジンを搭載し、燃費が向上しました。トヨタ・レクセンとしての販売も終了しました。

3. 3代目コモドア (1997年-2006年)

3代目コモドアは、さらに流線型のデザインと、向上した出力、ボディ剛性、衝突安全性を実現しました。

3代目モデルのバリエーション

VT (1997-2000): ホイールズマガジン誌のカーオブザイヤーに選出され、コモドア史上最大の販売台数を記録しました。
VX (2000-2002): エクステリアデザインと衝突安全性が向上しました。
VY (2002-2004): 安全性、エンジン性能、ハンドリングが向上しました。
VZ (2004-2006): 新型エンジンを搭載し、ユーロ3に適合しました。販売台数は振るわなかったものの、3代目最後のモデルとなりました。

4. 4代目コモドア (2006年-2017年)

4代目コモドアは、ゼータプラットフォームを採用した完全な独自開発モデルとなりました。7年間の開発期間と10億オーストラリア・ドル以上の開発費用が投じられました。

4代目モデルのバリエーション

VE (2006-2013): ホイールズマガジン誌のカーオブザイヤーに選出されました。
VE シリーズII (2010-2013): マイナーチェンジモデル。E85フレックス燃料対応エンジンや新型インフォテインメントシステムを採用しました。
VF (2013-2017): 大幅なマイナーチェンジ。シボレーブランドでも販売されました。

5. 5代目コモドア (2018年-2020年)

5代目コモドアは、オペル・インシグニアをベースとし、歴代初となるFF駆動を採用しました。セダンはリフトバックスタイルとなりました。2019年には製造中止となりました。

まとめ

ホールデン・コモドアは、長年にわたりオーストラリアの自動車文化を象徴する存在として、愛されてきました。それぞれの世代でデザインや技術が進化し、オーストラリアの道路環境や消費者のニーズに対応してきたことが、その成功の要因と言えるでしょう。その歴史と進化を振り返ることで、オーストラリアの自動車産業の歴史の一端を垣間見ることができます。

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