ポスコ

株式会社ポスコ（POSCO）について

株式会社ポスコ（POSCO）は、大韓民国に本社を置く最大の鉄鋼メーカーです。1968年に設立され、1973年には浦項市で製造を開始しました。設立の背景には、韓国政府による対日請求権資金の利用があり、当時の朴正煕大統領がこのプロジェクトに強く関与していました。ポスコは、八幡製鐵や富士製鐵、日本鋼管などから技術を導入し、当時の韓国の経済成長に大きく寄与した企業となりました。

設立背景と初期の経緯

設立当初は「浦項総合製鉄株式会社」という名称で、韓国政府が75%、韓国国営企業の大韓重石が25%の出資比率を持っていました。会社の設立に際しては、韓国政府が1966年に発足させた「対韓国際製鉄借款団」という組織を通じて外国からの借款を試みましたが、思うような資金調達は実現できず、最終的には対日請求権資金などを利用して資金を集めることとなりました。

1970年に浦項製鉄所の第一期設備の建造が始まり、1973年には最初の銑鉄が生産されました。これにより韓国は軽工業から重化学工業へと産業構造を転換し、大規模な経済成長を遂げました。

日本からの資金と技術支援

浦項製鉄所の建設には、日本からの大規模な資金援助と技術供与が不可欠でした。日韓基本条約に伴う請求権資金からは、無償と有償合わせて約7,723万ドルが流用され、さらに日本輸出入銀行からも5450万ドルの商業借款が得られました。この資金で、1973年までに製鉄所および関連設備が竣工し、粗鋼生産能力は驚異的なスピードで増加しました。

企業の成長と民営化

1990年代以降、ポスコは急成長を続け、1998年には完全に民営化されました。しかし、政治の影響は依然として強く、経営陣は政権によって左右されることも多くありました。民営化以降は、製鉄所の拡張や新たな技術の導入を進め、国際競争力を強化しています。特に新日鐵住金との技術流出訴訟は、企業の技術革新に大きな影響を与えました。

国際展開と新素材部門への進出

ポスコは過去数十年にわたり、国際的な展開を進めており、2018年にはオーストラリアのリチウム鉱山会社への出資を通じて新素材分野に進出する意向を示しています。また、2022年には韓国の浦項製鉄所が台風による大規模な冠水被害に見舞われたものの、企業の持つ回復力は示されています。

最後に

株式会社ポスコは、韓国経済の発展に寄与する重大な役割を果たし続けており、その動向は国際的な鉄鋼市場にも大きな影響を与えるものとされます。過去の成長に加えて、新たな市場への進出や技術革新により、さらなる成長が期待される企業です。

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