ポマト

ポマトの概要

ポマト（pomato）は、ジャガイモ（potato）とトマト（tomato）が細胞融合によって生み出された雑種です。この植物の創出は1978年、西ドイツ（当時）のマックス・プランク研究所においてゲオルク・メルヒャーズによって行われました。ポマトはジャガイモの茎にトマトを接ぎ木した「ジャガトマ」とは異なり、より複雑な技術を用いて作られたものです。

細胞融合技術

ポマトの作製に用いられた細胞融合技術は、植物細胞の細胞壁を酵素で溶解し、プロトプラストを生成する工程を含んでいます。これらのプロトプラストはポリエチレングリコール（PEG）で処理され、互いに融合することによって、新しい植物体が形成されます。この技術により、通常の自然交雑では結実しない異種交配が可能となります。ジャガイモ（学名：Solanum tuberosum）とトマト（学名：Solanum lycopersicum）は同じ属に属しながら異なる種であるため、自然界では交配できないのです。

開発の意図と結果

ポマトは当初、暖かい気候で育つトマトにジャガイモの耐寒性を与える目的で開発されました。このように、両者の良い特性を兼ね備えた植物を期待されたのですが、実際に生まれた植物は両方の特性を有していませんでした。そのため、ポマトは実用的な価値を持たない失敗作として終わってしまいます。当時はポマトが将来の農業に革命をもたらす植物として注目を集めていたものの、期待に応えることができず、歴史の中に消えていきました。

参考文献と関連項目

ポマトに関する研究は、さまざまな文献によって報告されています。例えば、米山勝美と若林攻による「作物保護とバイオテクノロジー」や、吉川孝文の「植物バイオテクノロジー」などが挙げられます。また、ポマトは1985年に開催された国際科学技術博覧会においても日本のパビリオンに出展され、当時の先端技術の象徴的存在となっていました。しかし、実際にポマトが公開されたものは、実際の細胞融合によるものではなく、ジャガイモとトマトを接ぎ木したものでした。

終わりに

ポマトは今にして思えば、科学の進歩とその限界を示す一つの事例として語られます。他にもヘクタリウムのような異種間の細胞融合による植物開発が行われていますが、それらはさまざまな理由から実用化が難しいこともあります。しかし、ポマトのような実験的な試みが将来的に新しい技術や作物開発の道を開くことになるかもしれません。

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