マサカー (Massacre)
マサカーは、
1980年にフレッド・フリス(ギタリスト)、ビル・ラズウェル(ベーシスト)、フレッド・マー(ドラマー)によって
ニューヨークで結成されたエクスペリメンタル・ロック・バンドです。このバンドは、即興演奏を重要な要素として取り入れ、高エネルギーで自由な音楽性を追求しました。
フリスは、
イングランドのアヴァンギャルド・グループ「ヘンリー・カウ」の共同創設者であり、バンド解散後の1979年に
ニューヨークに移住しました。そこで彼は、
ジャズ・アンサンブルとして活躍していたラズウェルとマーと出会い、
1980年に「マサカー」を結成しました。バンドは初期のロックンロールのエネルギーを取り戻すことを目指して、フリー・インプロヴィゼーション・
ジャズを取り入れた音楽を展開しました。
1980年には、ピーター・ブレグヴァドのコンサートのオープニング・バンドとして招待され、その演奏が好評を博しました。その後、様々な会場でパフォーマンスを重ね、
1981年にはスタジオ・アルバム『キリング・タイム』をリリースしました。このアルバムは、スタジオ録音とライブ録音を組み合わせた作品で、彼らの音楽スタイルを象徴するものとなりました。スタジオ・レコーディングは
ニューヨークのブルックリンで行われ、ライブ録音はパリで実施されました。
しかし、
1981年7月に最後の公演を行った後、マーが脱退し、バンドは解散しました。フリスとラズウェルはその後、他のプロジェクトに参加し、1983年には「ゴールデン・パロミノス」というバンドに加わりました。この期間、彼らは「マサカー」の音楽を引き継ぐような演奏も行っています。
1998年、フリスとラズウェルはドラマーのチャールズ・ヘイワードを加えてマサカーを再編成しました。この新しいグループは、
1998年から2013年にかけて4枚のアルバムをリリースし、全てライブ録音を含む強力な内容が特徴でした。これらのアルバムは、ジョン・ゾーンのレーベル「ツァディク」からリリースされました。
彼らの音楽は、パワフルでダイナミックな即興演奏と、しっかり蓄積された楽曲が融合しており、リズムやメロディに対する独自のアプローチが特徴です。バンドの迫力あるライブパフォーマンスは、多くのファンに強烈な印象を残しました。また、彼らはヨーロッパの様々なフェスティバルにも出演し、広い公演活動を行っていました。
メンバー
- - フレッド・フリス (Fred Frith): ギター、カシオ、ラジオ、ボイス
- - ビル・ラズウェル (Bill Laswell): 4弦&6弦ベース、ポケット・トランペット
- - フレッド・マー (Fred Maher): ドラム、パーカッション
- - チャールズ・ヘイワード (Charles Hayward): ドラム、ボイス、メロディカ
ディスコグラフィ
- - 『キリング・タイム』 - Killing Time (1981年、Celluloid Records)
- - Funny Valentine (1998年、Tzadik Records)
- - Meltdown (2001年、Tzadik Records) ※ライブ
- - Lonely Heart (2007年、Tzadik Records) ※ライブ
- - Love Me Tender (2013年、Tzadik Records) ※ライブ
マサカーは、その独自の音楽スタイルと緻密な演奏で、エクスペリメンタル・ロックというジャンルにおいて重要な存在であります。