フレッド・フリス

フレッド・フリス（Fred Frith、1949年2月17日 - ）は、イギリス、サセックス州ヒースフィールド出身の音楽家であり、作曲家、そして即興演奏家としても知られています。主にギタリストとしてその名を知られていますが、ヴァイオリン、キーボード、ベースなど、多岐にわたる楽器を演奏するマルチプレイヤーでもあります。

1968年、ティム・ホジキンソンと共にヘンリー・カウを結成し、音楽キャリアをスタートさせました。このバンドは、実験的な音楽性と政治的なメッセージで知られ、フリスの音楽的な方向性を決定づける重要な存在となりました。1974年には、初のソロ・アルバム『ギター・ソロズ』を発表し、彼の革新的なギター奏法が注目を集めました。

ヘンリー・カウの分裂後、1978年にはクリス・カトラー、ダグマー・クラウゼと共にアート・ベアーズを結成。このバンドでは、より演劇的な要素を取り入れた音楽を展開し、フリスの作曲家としての才能も開花しました。1979年にはニューヨークに移り、ビル・ラズウェル、フレッド・マーと共にマサカーを結成し、ノイズロックや即興音楽の分野で新たな地平を切り開きました。1980年代末期からは、ジョン・ゾーンが率いるネイキッド・シティのベーシストとしても活動し、その幅広い音楽性を発揮しました。

1990年には、ドキュメンタリー映画『ステップ・アクロス・ザ・ボーダー』が公開され、同名のサウンドトラックも発売されました。この映画は、フレッド・フリスが世界各地を旅し、様々な文化的背景を持つミュージシャンたちと交流する様子を捉えた作品であり、第3回ヨーロッパ映画賞でSpecial Mention賞を受賞しています。1998年には、ビル・ラズウェルとチャールズ・ヘイワードと共にマサカーを再結成し、再び精力的な活動を展開しました。1999年からは、ミルズ・カレッジの教授を務め、後進の育成にも力を注いでいます。

フレッド・フリスは、日本のアーティストとの交流も深く、1981年には突然段ボール、1984年にはドラマーの土取利行と共演し、その模様も発表されました。ドクトル梅津バンド (Doctor Umezu Band / D.U.B)の1983年の作品『Dynamite』にはギターとヴァイオリンで参加し、近藤等則の1985年の作品『China Boogie』にもギターで参加しています。2009年には、大友良英が音楽を担当したNHKドラマスペシャル『白洲次郎』のサウンドトラックに参加するなど、その活動は多岐にわたります。

フレッド・フリスは、常に新しい音楽の可能性を追求し、ジャンルや国境を越えたコラボレーションを積極的に行う、真の音楽家と言えるでしょう。彼の革新的な音楽性は、多くのミュージシャンに影響を与え続けています。

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