マズバズ

Muzz Buzz（マズバズ）

概要

Muzz Buzzは、オーストラリア資本の企業が所有・運営する、ドライブスルー方式に特化したコーヒー店のフランチャイズチェーンです。主に西オーストラリア州の州都パースを中心として事業を展開しています。2001年、パース都市圏の郊外地区であるベルモントで最初の店舗が誕生し、以降、そのユニークなビジネスモデルと店舗デザインにより、急速に店舗網を拡大していきました。

特徴とビジネスモデル

このチェーンの最も顕著な特徴は、顧客が車に乗ったまま商品を受け取れるドライブスルー方式に徹している点です。これにより、多忙な現代人のライフスタイルに合わせた迅速なサービスを提供しています。

また、Muzz Buzzの店舗は、視覚的にも非常に特徴的です。その建物は、まるで特大のコーヒーカップを模したかのような独特な形状をしており、企業のアイデンティティを示す白、緑、紫の三色が鮮やかに組み合わされて装飾されています。この個性的で覚えやすいデザインは、ブランド認知度を高める上で重要な役割を果たしています。

フランチャイズ方式による事業展開は2004年から本格的に始まりました。チェーン全体で統一された顧客体験を提供するため、各フランチャイズ店舗は、創業当時のオリジナルのデザインや雰囲気を忠実に再現するように設計されています。最初のフランチャイズ店はモスマン・パークに開店し、以降、ウォーレン・レイノルズ氏の手腕によってパース都市圏でのフランチャイズ網が飛躍的に拡大しました。

沿革とグローバル展開

Muzz Buzzの創業は、オーストラリア国内におけるプレミアム品質のコーヒーへの嗜好が高まる一方で、パース都市圏内にはドライブスルー形式でこうしたコーヒーを提供する店舗がほとんど存在しなかったという市場環境に応える形で行われました。

創業地である西オーストラリア州での成功を基盤に、Muzz Buzzはオーストラリア国内の他の州への進出を積極的に進めました。2014年2月時点では、オーストラリアの4つの州で合計56店のドライブスルー店舗を展開する規模に成長していました。

国内での成功を経て、2006年からはオーストラリア国外への展開も視野に入れるようになりました。フランチャイズ権は、旧東側諸国のベラルーシをはじめ、トルコや中東地域、南アフリカ、ニュージーランド（既に2店舗が出店済み）、イギリス、シンガポールといった世界各地に売却されました。特にニュージーランドでは既に2店舗が出店されていました。さらに、将来的には北アメリカ市場への進出も計画されており、交渉が進められている段階でした。当時のインタビューによれば、創業者は中国市場からの事業提携の打診も受けていたと語っています。

業界内での評価も高く、Muzz Buzzはオーストラリアのフランチャイズ業界を代表する団体であるオーストラリア・フランチャイズ評議会の一員です。2012年には、独立した調査会社による評価で、オーストラリア国内のトップ10フランチャイザーの一つに選ばれるなど、そのビジネスモデルと成長性が広く認められていました。

メニューの特色

Muzz Buzzのメニューは、チェーン全体で標準化されており、どの店舗でも比較的容易に同じ品質と種類の飲み物や食べ物を見つけることができます。ただし、商品の価格設定は店舗によってわずかに異なる場合があります。

コーヒーを中心とした温かい飲み物では、容器のサイズをShort、Tall、Grande、そして「The Really Big One」というユニークな名称で展開しています。一方、冷たい飲み物はTallまたはGrandeのサイズで提供されます。コーヒーは常に挽きたての豆を使用して丁寧に淹れられています。

また、コーヒーやその他のドリンク以外にも、様々な種類の軽食やデザートなども提供されており、顧客の様々なニーズに応えられるような品揃えが目指されています。

特に、運転中の顧客が安全かつ快適に飲み物を楽しめるようにという配慮から、温かい飲み物であってもストロー付きで提供されるというサービスも実施されていました。

日本での事業展開とその終焉

日本市場への参入は、千葉市に本社を置くMuzz Buzz Japan Co., Ltd.によって進められました。2015年から日本国内での店舗展開が始まりました。

日本第1号店は、2015年3月20日に埼玉県越谷市にある大型ショッピングモール、イオンレイクタウン内にオープンしました。この店舗は、ショッピングモール内に出店したインライン型の店舗であり、Muzz Buzzの本来の形態であるドライブスルー方式ではありませんでした。また、メニューにはオーストラリアの店舗にはないホットドッグ「Sausage Sizzle」が導入されるなど、日本市場に合わせたアレンジが施されていました。

Muzz Buzzの最大の特徴であるロードサイド型のドライブスルー店舗としては、当初2015年秋に鳥取砂丘前への出店計画が発表されていましたが、この計画は実現に至りませんでした。代わりに、日本初のドライブスルー店舗として、2015年12月19日に鳥取市吉成の国道53号沿いに、店舗が開店しました。

日本国内における最初のフランチャイズ店舗は、2016年3月12日にオープンした大阪府貝塚市の大阪貝塚店でした。

Muzz Buzz Japanは、日本国内において今後10年間で300店舗の展開を目指すという積極的な目標を掲げていました。しかし、現実は厳しいものでした。2016年末には、埼玉県と大阪府の店舗が相次いで閉店し、唯一残っていた鳥取県の店舗も、原材料の輸入遅延を理由に一時休店となりました。

最終的に、2017年3月時点までに、日本国内にあった全てのMuzz Buzz店舗が閉店したことが確認されています。これに伴い、日本向けの公式サイトも閉鎖されました。日本市場からの事業撤退について、Muzz Buzz Japanからの公式な発表は行われていませんが、事実上の撤退となりました。

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