マッダン

マッダンは、ジェフリー・オブ・モンマスの著作『ブリタニア列王史』に登場する、古代ブリトン人の伝説的な王です。彼は紀元前1100年頃に王位に就いたとされています。

マッダンの誕生は、父ロクリヌス王と母グウェンドリン女王の間に起こった悲劇と深く関わっています。ロクリヌスは、グウェンドリンとの結婚後、エストリルディスという女性を深く愛するようになります。このことがグウェンドリンの怒りを買い、彼女はロクリヌスに対して反乱を起こし、彼を打ち破ります。マッダンは幼少の頃、祖父コリネウスに育てられますが、コリネウスの死後、グウェンドリンが女王として15年間統治しました。彼女は息子マッダンが成長するのを待ち、彼が王位を継承できる年齢になると、王位を譲り渡しました。

マッダンは王位に就いた後、結婚し、妻との間にメンプリキウスとマリンという二人の息子をもうけました。彼の治世は平和であり、40年間続きました。マッダン王の統治下、ブリテンは安定と繁栄を享受したと伝えられています。しかし、彼の死後、王国には暗雲が立ち込めます。メンプリキウスとマリンの間で王位継承を巡る激しい争いが勃発し、最終的にはマリンが殺害されるという悲劇的な結末を迎えます。この兄弟間の争いは、ブリテンの歴史に大きな傷跡を残し、その後の混乱の時代へと繋がっていきます。

マッダンの物語は、王位、愛憎、そして家族間の争いが織りなす、古代ブリテンの歴史の一幕を伝えています。彼の平和な統治と、その後の悲劇的な王位継承争いは、歴史の教訓として語り継がれています。

参考文献

* ブリタニア列王史（ジェフリー・オブ・モンマス著、瀬谷幸男訳、南雲堂フェニックス）

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