マルニ木工

マルニ木工株式会社

株式会社マルニ木工は、広島県広島市に本社を構える、木工家具の製造および販売を手がける企業グループです。日本の木工家具業界において有数の存在感を持ち、特に高いブランド力で知られています。

歴史と革新

その創業は古く、前身となる昭和曲木工業が設立された1928年（昭和3年）に遡ります。これは、国内の家具産業の中でも特に長い歴史を持つ一つです。創業初期において、同社はそれまで個々の職人による家内手工業が中心であった家具生産に対し、画期的な変革をもたらしました。具体的には、生産工程を細分化し、各工程を専門的に行う分業制と、機械化によるオートメーションを積極的に導入したのです。この取り組みにより生産量を飛躍的に拡大させ、日本の家具産業の近代化を牽引する役割を果たしました。

事業展開と商品

同社の製品ラインナップは幅広く、中でも精巧な craftsmanship とデザインを特徴とする高級家具シリーズが有名です。「モードロイヤルシリーズ」や「地中海ロイヤルシリーズ」といったシリーズは、長年にわたり多くの支持を集めています。また、1970年代には、インテリア空間全体に統一感と調和をもたらす「トータルコーディネイト」という考え方を業界に先駆けて提唱し、これを具現化した製品群を提供しました。この提案は消費者の家具選びの概念に影響を与え、同社の企業としての成長を大きく加速させる要因となりました。

国際的な事業展開にも早くから着手しており、東南アジアのタイに子会社であるタイマルニを設立しました。これにより、生産拠点を多様化し、コスト競争力の向上にも取り組んでいます。

近年の新たな試みとしては、伝統的な木工技術と現代のデザインや文化を融合させることを目指したプロジェクト「ネクストマルニ（nextmaruni）」を推進しています。

主な商品シリーズには、以下のようなものがあります。

MARUNI COLLECTION
MARUNI60
nextmaruni
ブリタニア
地中海ロイヤル
ブリティッシュコレクション
マキシマム
地中海
ベルサイユ
アトリエ

経営状況と変遷

近年、同社は過剰な債務や、国際競争の激化に伴う安価な輸入品の増加といった要因から、経営状況が厳しい局面を迎えた時期がありました。こうした状況を打開するため、地域企業の再生支援を目的としたファンドである「せとみらいキャピタル」（日本政策投資銀行とあおぞら銀行が出資）からの支援を受けることとなりました。

その後、家電量販店大手の株式会社エディオンの子会社である株式会社デオデオが同社の支援を表明。デオデオはマルニ木工の株式の30%を取得し、マルニ木工はエディオンの持分法適用関連会社となりました。しかしながら、2022年3月25日には、エディオンが保有するマルニ木工の全株式を売却したことにより、同社の持分法適用関連会社ではなくなっています。

関連活動：マルニカヌークラブ

かつて同社は、スポーツ活動の一環として「マルニカヌークラブ」を運営していました。1960年に創部されたこのクラブは、ロサンゼルスオリンピックで日本カヌー界初の入賞を果たした井上清登選手をはじめ、緒方厚信、井上清澄、坂本利介、當山克也といった多くのオリンピック選手を輩出しました。また、日本カヌー選手権大会において27連覇を達成するなど、日本カヌー界のトップチームとして輝かしい実績を残しました。しかし、1999年9月、本業である家具事業の業績悪化に伴い、惜しまれつつも廃部となりました。

沿革

同社の主な沿革は以下の通りです。

1928年: マルニの前身である昭和曲木工場が設立。
1933年: 沼田木工所と合併し、マルニ木工株式会社として新たな歩みを始める。
1988年: 商号を株式会社マルニに変更。
1991年: 株式会社マルニが、関連会社の株式会社マルニリビングおよび株式会社マルニファニシングを吸収合併。
1996年: 株式会社マルニファニシングを再び分社化。
2004年: 商号を現在の株式会社マルニ木工に戻す。

関連情報

マルニ木工に関するエピソードは、書籍『奇跡の椅子 AppleがHIROSHIMAに出会った日』（小松成美著）でも紹介されています。

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