マロニー

マロニー株式会社は、大阪府吹田市に拠点を構える食品製造企業です。ジャガイモやトウモロコシといった澱粉を原料とする麺製品「マロニー」ブランドの製造元として広く知られています。現在はハウス食品グループ本社の子会社として事業を展開しています。

主力製品である「マロニー」は、鍋料理の具材として特に親しまれていますが、近年では企業ウェブサイトなどでサラダやスープといった多岐にわたる料理への活用法が提案され、その用途が広がっています。「マロニー」以外にも、くずきりやポン酢などの食品も手掛けています。

国内の生産体制として、大阪府の本社に隣接する大阪工場のほか、静岡県の浜松工場、福岡県の九州飯塚工場、長野県の信州伊那工場と、全国に計4ヶ所の生産拠点を有しています。

マロニー株式会社の歴史は、1950年（昭和25年）に創業者・吉村義宗氏が大阪市で「吉村商店」としてもやし製造業を始めたことに遡ります。1955年（昭和30年）には法人化され「大洋産業株式会社」が設立されました。1959年（昭和34年）には現在の本社所在地である吹田市に移転し、新工場を建設しました。

その後、澱粉麺の研究開発に取り組み、1964年（昭和39年）には独自の製法による「マロニー」の製造を開始。同年12月にはその製法で特許を取得しています。1967年（昭和42年）に「ヨーサン食品株式会社」へ、さらに1978年（昭和53年）には現在の「マロニー株式会社」へと商号を変更しました。1991年（平成3年）には創業者・吉村義宗氏が会長となり、長女の河内幸枝氏が社長に就任する経営体制となりました。

2017年（平成29年）8月1日付で、ハウス食品グループ本社が全ての株式を取得し、同社の完全子会社となりました。2022年（令和4年）4月には、チルド製品を除く家庭用事業をハウス食品へ譲渡しましたが、引き続き当該事業の製造を担うとともに、チルド事業、業務用事業、および輸出専売品の販売は継続しています。

企業名およびブランド名の「マロニー」の由来は、製品の特徴である「まろやかに煮える」という性質と、創業者・吉村義宗氏が第二次世界大戦後のシベリアでの抑留生活中に工場で共に働いていた、明るい人柄の少女「マロン」のイメージを重ね合わせたものであるとされています。

同社のマスコットキャラクターは「ヨーちゃん」と呼ばれています。この名前は、創業者の吉村義宗氏が自身の頭文字から「よーさん」という愛称で呼ばれていたことに由来しています。旧社名の一つである「ヨーサン食品」も、このマスコット名にちなんで付けられたものです。後述のテレビCMで「マロニーちゃん」という愛称が広く知られたため、マスコット自体の名称として「マロニーちゃん」が用いられることが一般的になりました。

女優の中村玉緒さんが出演し、「マロニーちゃん」のフレーズで親しまれるテレビCMは、1994年（平成6年）に放送が始まりました。当初は関東地方での限定的な放送でしたが、現在では全国的に放送されています。かつては、東日本で「マロニーちゃん」が登場し、西日本で「ヨーちゃん」が登場する地域別のCMが存在しましたが、マスコットの名称が「マロニーちゃん」に統一されたことで、この地域差は解消されました。CMの台本には当初「お鍋にマロニー」「マロニーさん」といった言葉しかなく歌唱シーンは予定されていませんでしたが、本番前に中村玉緒さんがアドリブで「マロニーちゃん」と口ずさんだものが、その場にいた当時の河内社長に気に入られ、正式にCMのフレーズとして採用されることになったというエピソードがあります。

このように、マロニー株式会社は、澱粉麺「マロニー」を中心に日本の食卓に貢献してきた企業であり、その歴史、製品、親しみやすいキャラクターとCMは多くの人々に記憶されています。

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