ミサンガ

ミサンガ：願いを込めた手作りの絆

ミサンガは、色とりどりの刺繍糸を編んで作る手芸品です。日本ではプロミスリング、プロミスバンドとも呼ばれ、手首や足首に巻きつけて使用します。

語源と発祥

「ミサンガ」という言葉はポルトガル語に由来しますが、本来の意味は「ビーズ」です。紐状のものをミサンガとは呼びません。また、「プロミスリング」は英語では恋人同士が互いに贈る指輪を指すのが一般的です。

発祥地はポルトガル、ブラジル、グアテマラなど諸説あります。17世紀頃、ポルトガルの教会で作られていた「フィタ」という紐が起源とされ、願いを込めて編み、お守りとして身につけられていました。「ポン・フィン」はポルトガル語で「美しい結末」を意味し、ミサンガが自然に切れると願いが叶うという思想に繋がったと考えられています。

現在では、ブラジル・バイーア州サルバドールのボン・フィン教会が流行の発祥地として知られています。ここではミサンガ・フィタと呼ばれ、紐を手首や足首に2回巻きつけるのが始まりでした。ボン・フィン教会には、願いが叶った人々がお礼として結んだミサンガ（リボン状）が数多く飾られています。

日本での広まり

ミサンガは、ポンファン・フィタとしてポルトガル語圏に広がり、特にサッカー選手に愛用されました。日本においては、1993年のJリーグ開幕時に、ヴェルディ川崎のラモス瑠偉や北澤豪が身につけていたことがきっかけで、Jリーグブームと共に広まりました。紐が自然に切れたら願いが叶うという縁起担ぎの意味合いで使用されています。

Jリーグブーム後も、ミサンガは若者やスポーツ選手に人気があります。2004年のプロ野球オールスターゲームでは、プロ野球選手が球団合併反対の願いを込めて、12球団のイメージカラーで作られたミサンガを使用しました。

東日本大震災とミサンガ

東日本大震災後、EXILEがミサンガを製作し、収益を震災で親を亡くした子供たちの支援に充てました。他にも、企業や個人がチャリティー活動としてミサンガを作製・販売する動きがありました。

被災地の宮城県石巻市の小中高校生グループ「We make Ishinomaki」は、ボランティアに配布するため、1万本のミサンガ製作を始めました。彼らは、アクセサリーを身につけられない被災者とボランティアが同じものを身につけることで一体感を、石巻のために子供でもできることを、という思いを込めて作製しました。

三陸地方では、震災で仕事を失った女性たちが、漁網を再利用して「浜のミサンガ 環」を製作し、収入を得ています。これは全国的な話題となっています。

ミサンガは、願いを込めて身につけるだけでなく、チャリティーや地域復興のシンボルとしても活用されています。手作りの温もりと、込められた思いが、人々の心を繋ぐ力を持っていると言えるでしょう。

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