ミニモ

ミニモ：トルコ競馬史に輝く三冠牝馬

ミニモ（Minimo、1968年 - 1998年?）は、トルコ競馬において唯一の三冠を達成した牝馬であり、その圧倒的な強さで競馬ファンを魅了しました。2歳から4歳にかけて16連勝を記録するなど、数々の記録を打ち立てた名馬です。

デビューまで

ミニモは、トルコ最高峰の競走であるガジ賞（ガジダービー）を13勝したオーナーブリーダー、サドゥク・エリイェシルによって生産されました。

父はイギリス産のジハンギル（Cihangir）。ハイペリオン（Hyperion）の産駒で、エリイェシルが新婚旅行中にイギリスで購入しました。トルコでの競走生活では、外国産馬に対する過剰な負担重量が影響し、目立った成績を残すことはできませんでしたが、種牡馬としては6頭のガジ賞優勝馬を輩出する成功を収めました。

母マイティーモ（Mighty Mo）はイギリス産のステークス競走勝ち馬で、複数の勝ち上がり産駒を産んだ後、エリイェシルによって高額で購入されトルコに輸入されました。

ミニモはマイティーモのトルコにおける3番目の産駒として誕生。晩生まれで小柄だったことから「ミニモ」と名付けられました。馬主はサドゥク・エリイェシルの妻、ギュルスムでしたが、デビュー前の期待は決して高くありませんでした。

戦績

1970年7月30日、ミニモは未勝利戦でデビュー。2戦目で初勝利を挙げると、条件競走で4連勝を達成しました。その強さから、周囲は2歳G1チャルディラン賞への出走を勧めましたが、エリイェシル夫妻はミニモの成長を第一に考え、下級競走への出走を優先しました。

3歳となった1971年春、ミニモは重賞に挑戦し、G3アキフ・アクソン賞、G2ディシ・タイ・デネメ（トルコ1000ギニー）、G1クスラック賞（トルコオークス）を次々と制覇し、連勝を8に伸ばしました。そして、3週間後のG1ガジ賞（ガジダービー）に出走。クスラック賞で跛行を発症していたため、十分な調整ができていないと見られていました。

ガジ賞では、人気の牡馬が先行する中、ミニモは最後の1000m地点からロングスパートを仕掛け、見事に差し切って3馬身差で勝利しました。

秋にはG3サンタリン賞を制し、1番人気でアンカラ賞（トルコセントレジャー）に出走。後続を寄せ付けずに逃げ切り、見事三冠を達成しました。さらに、10月から11月にかけて開催される古馬混合G1競走であるトルコ大統領賞、首相賞、上院議長賞を3連勝し、10戦10勝（うちG1を6勝）という圧倒的な成績で3歳シーズンを終えました。エリイェシルの主戦騎手であるベテランのエクレム・クルトは、3歳牝馬で斤量が軽いミニモに騎乗するため、「パンの味を忘れる」ほどの減量を行い、ミニモを連勝に導きました。

4歳となった1972年は、5月に始動し、2連勝で連勝記録を16に伸ばしましたが、夏のG2ボアズィチ賞、G3サンタリン賞では2着に惜敗しました。10月、G3地中海ダービーで17勝目を挙げたミニモは、ラストランとして前年優勝した大統領賞に出走。しかし、クルト騎手が同レースでミニモと同父・同一馬主のアッコル（Akkor）に騎乗することになったため、ミニモの手綱は若手騎手のスレイマン・アクドゥに託されました。

大統領賞をミニモは見事圧勝し、通算21戦18勝の成績を残して引退しました。

引退後

引退後は繁殖牝馬となり、1974年生まれから1987年生まれまで7頭の産駒が血統登録されています。

1979年生まれの第4仔カラニモ（Karanimo）は、同じエリイェシル牧場生産の無敗の三冠馬カライェル（Karayel）との間に生まれた仔で、アンカラ賞とトルコ大統領賞（2回）を制し、G1を3勝しました。これにより、父母子2代でのG1制覇を達成しています。

ミニモの死亡時期は不明ですが、トルコのスタッドブックでは30歳を迎える1998年1月1日が死亡日として登録されています。

ミニモは、その輝かしい戦績と、引退後の血統への影響を通じて、トルコ競馬史にその名を深く刻み込んでいます。

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