ミンストレル

ミンストレル：中世ヨーロッパの宮廷芸人

ミンストレル（英: minstrel）は、中世ヨーロッパにおいて宮廷に仕えた職業芸人たちのことを指します。現代においては、ジョングルールとともに吟遊詩人を表す言葉として用いられることもあります。

フランス語では、メネストレル（ménestrel）と呼ばれ、その語源はラテン語の「召使い」や「奴隷」を意味するミニステリアリス（ministerialis）に由来するとされています。この語源からもわかるように、ミンストレルは当初、宮廷に仕える身分の低い存在でした。

ジョングルールとの違い

ミンストレルはしばしばジョングルールと混同されますが、両者は厳密には異なります。ジョングルールは、各地を旅しながら大道芸を披露する芸人を指します。一方、ミンストレルは大方は宮廷に仕える身分になったジョングルールと解釈されています。つまり、ジョングルールの中から特に優れた者が、宮廷に雇われてミンストレルになったと考えられます。

宮廷での役割

ミンストレルは、雇い主である宮廷に所属し、祝宴だけでなく日々の食事時の余興などに芸（多くは音楽であった）を披露して座を盛り上げる存在でした。彼らの芸は、音楽演奏、歌唱、物語の語りなど多岐にわたり、宮廷生活に欠かせない娯楽を提供していました。

宮廷でのミンストレルは、単なる芸人としてだけでなく、宮廷の記録係や使者としての役割を担うこともありました。そのため、読み書きや外国語に堪能な者もいたようです。また、ミンストレルが創作した音楽や詩は、宮廷文化の発展に大きく貢献しました。

人気と誇り

非常に芸に優れていたために人気が高かったジョングルールの中には、ミンストレルへの宮廷からの誘いを断った者も多くいたようです。彼らは、自由な身分で各地を旅しながら芸を披露することに価値を見出していました。それを自慢げに歌っている詩も残されており、ミンストレルになることが必ずしも全てのジョングルールの目標ではなかったことが伺えます。

ミンストレルは、中世ヨーロッパの宮廷文化において重要な役割を果たした職業芸人でした。彼らの音楽や物語は、人々の心を豊かにし、宮廷生活に彩りを与えました。

関連項目

ミンストレル・ショー
ジョングルール
ミンネザング
ゴリアルドゥス
吟遊詩人
アダン・ド・ラ・アル
中世西洋音楽
道化師 - 宮廷道化師

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