ユタラプトル

ユタラプトルは、白亜紀前期に現在の北アメリカ大陸に生息していたドロマエオサウルス科に属する獣脚類の恐竜です。属名は「ユタの泥棒」という意味を持ち、その名の通り、ユタ州で化石が発見されました。

形態

ユタラプトルの体型は、同じドロマエオサウルス科のデイノニクスに似ていますが、全体的に大きく、がっしりとした体格をしています。特に特徴的なのは、後肢の第二趾に付いている巨大な鉤爪で、その長さは20センチメートルにも達します。この鉤爪は、獲物を捕らえたり、引き裂いたりする際に重要な役割を果たしたと考えられています。

現在確認されている最大の標本（BYUVP 15465）に基づくと、全長は約4.9メートル、体高は約1.5メートル、体重は約280キログラムと推定されています。古生物学者のグレゴリー・ポールらは、ユタラプトルは最大で全長約5.5メートル、体重約300キログラムに達した可能性があると推測しています。これは、ドロマエオサウルス科の中でも最大級の大きさに相当します。

羽毛について

他のドロマエオサウルス科の恐竜と同様に、ユタラプトルも羽毛を持っていた可能性があります。近年、羽毛恐竜の化石が数多く発見されており、ドロマエオサウルス科の祖先は羽毛を持っていたと考えられています。しかし、ユタラプトルは体が大きいため、羽毛が退化していたり、他のドロマエオサウルス科とは異なる生え方をしていたりする可能性もあります。羽毛の有無や形状については、今後の研究によるさらなる証拠が待たれます。

ユタラプトルは、その巨大な体格と強力な鉤爪によって、当時の生態系において頂点捕食者の一つとして君臨していたと考えられています。群れで狩りをしていた可能性も指摘されており、獲物を組織的に追い詰めていたのかもしれません。

参考文献

* ティム・ヘインズ、ポール・チェンバーズ 著、椿正晴 訳『よみがえる恐竜・古生物』群馬県立自然史博物館、ソフトバンククリエイティブ、2006年、107頁。ISBN 4-7973-3547-5。

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