ライン演習作戦

ライン演習作戦（Unternehmen Rheinübung）

ライン演習作戦は、第二次世界大戦の1941年5月18日から27日までの期間にドイツ海軍が実施した通商破壊作戦を指します。この作戦は、ドイツの大河であるライン川に由来した名前が付けられています。当初は、戦艦「ビスマルク」、「ティルピッツ」、巡洋戦艦「シャルンホルスト」、「グナイゼナウ」、重巡洋艦「プリンツ・オイゲン」など、強力な艦艇を投入する計画がありましたが、実際にはビスマルクとプリンツ・オイゲンの2隻のみで行われました。

背景と目的

ライン演習作戦の主な目的は、大西洋上の海上交通路を攻撃し、英国本土への補給ラインを断つことでした。このため、ドイツ海軍軍令部は多くの戦艦や巡洋艦を運用する計画を立てました。1941年1月から3月にかけて実施されたベルリン作戦では、「シャルンホルスト」と「グナイゼナウ」の2隻が出動し、合計22隻、約11万5622トンの船舶を沈めるか鹵獲し、一時的な成功を収めました。

しかし、その後「シャルンホルスト」は大規模な修理が必要となり、「グナイゼナウ」も英軍の空襲を受けて長期の修理を余儀なくされました。また、「ティルピッツ」は訓練中で、作戦に参加できる状態にはありませんでした。このため、ドイツ艦隊司令長官ギュンター・リュッチェンス中将が艦隊の完全な充足がなされるまで出撃を延期するよう訴えましたが、海軍総司令官エーリヒ・レーダー元帥は急速に増強されるイギリス艦隊と他の要素に考慮し、ビスマルクとプリンツ・オイゲンの2隻のみで作戦を行うと決定しました。

作戦経過

1941年5月18日、ビスマルクとプリンツ・オイゲンはゴーテンハーフェンを出港しました。作戦の中で、5月24日にデンマーク海峡でイギリス艦隊との交戦を果たします。この戦闘において、ビスマルクは名高い巡洋戦艦フッドを撃沈しましたが、自身も大きな損害を受け、燃料タンクの損傷により作戦の継続が不可能となりました。結果として、ビスマルクはプリンツ・オイゲンと分かれ、ブレストに向かうことになりました。

その後、ビスマルクはイギリス海軍に追撃され、28日には英艦隊との交戦において致命的な損傷を受け、操舵不能となりました。最終的には追撃を受けて自沈せざるを得なくなり、ドイツ側の主張では自沈を選択したとされています。一方で、プリンツ・オイゲンは作戦を続行し南下して補給を行いましたが、機関トラブルが発生し、結局は6月1日にブレストへ帰港しました。

結果と影響

ライン演習作戦において、ドイツ海軍は巡洋戦艦フッドを撃沈する成果を上げたものの、主要な目的であった通商破壊戦には成功しませんでした。特に、ビスマルクの喪失によりドイツ海軍は主要艦艇の約4分の1を失うことになり、その後は大西洋での水上艦を用いた通商破壊作戦を放棄し、Uボートによる作戦に完全に移行しました。この出来事は、ドイツ海軍の戦略に大きな転機をもたらしました。

関連項目

• - ビスマルク (戦艦)
• - プリンツ・オイゲン (重巡洋艦)

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