ラフテレーンクレーン

ラフテレーンクレーン（rough terrain crane）

ラフテレーンクレーンは、自走式の特殊なクレーンであり、走行とクレーン操作を同一の運転席で行うことができるため、非常に効率的な作業が可能です。特に不整地での使用が想定されているため、悪路を走行しても安定して作業を行えるのが大きな特徴です。これにより、トレーラーでの運搬や設置の手間が大幅に軽減されます。

歴史

ラフテレーンクレーンの歴史は1970年にさかのぼります。この年、日本のタダノ社が初めて15トン吊りのラフテレーンクレーン「TR-150」を発売しました。1989年には、このクレーンの登録台数がトラッククレーンを上回るという重要な転機を迎えました。

概要

ラフテレーンクレーンは時にラフタークレーンとも呼ばれ、ホイールクレーンの一種に分類されます。運転は1つのエンジンで走行、旋回、吊り上げを行いますが、これはクローラークレーンに似ている点でもあります。ナンバープレートの分類番号は、他の大型特殊自動車と同じく「9」となります。さらに、四輪駆動と四輪操舵のシステムが搭載されており、狭小な作業現場や不整地でも柔軟に対応できます。しかし、高速での走行に際しては、急ブレーキをかけることによって安全性が損なわれる恐れがあるため、最高速度が50km/h（カタログ上は49km/h）に制限されることが一般的です。

設備と性能

ラフテレーンクレーンは吊り上げ能力が4.9トンから100トンまであり、非常に多くのバリエーションが存在します。4.9トン未満の機種は、小型移動式クレーンとして分類されます。装備されているブームはテレスコピックブームと呼ばれ、作業前の組み立てが不要で、現場到着後すぐに作業を開始できる利点があります。

ブームは最大で40メートル以上の長さが可能ですが、走行時にはその長さを6メートル～10メートルに折りたたむことができるため、公道での走行が可能です。ブーム先端には、作業の角度を調整できる機能を持ったジブが取り付けられることもあり、作業の幅を広げています。

操作と免許

このクレーンを操作する際は、運転席で走行と操作が一元化されているため簡単です。オートマチックトランスミッションが搭載されているため、ギアの切り替えに手間がかかりません。なお、吊り上げ荷重が5トン以上の移動式クレーンを操作するためには、移動式クレーン運転士の免許が必要です。また、公道を走行するためには大型特殊免許も取得する必要があります。

日本での普及状況

2013年3月におけるデータでは、日本国内でのラフテレーンクレーンの保有台数は約31,800台に達しており、これは車検を通過した状態での数字です。主なメーカーにはタダノ、コベルコ建機、加藤製作所などがあり、それぞれ異なる吊り上げ能力のモデルを展開しています。かつては小松製作所やIHI建機、日本グローブも製造していました。

結論

ラフテレーンクレーンは、その高い機動性と迅速な作業開始が可能な設計で、現在の建設現場において欠かせない存在となっています。特に不整地での作業が多い環境において、その能力を発揮するのは間違いありません。

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