ラマシュトゥ

ラマシュトゥ：アッカド神話の魔の女神

ラマシュトゥ（Lamaštu）は、アッカド神話においてパズズ（Pazuzu）の配偶者とされる魔の女神です。古くはラバルトゥ（Labartu）とも呼ばれていました。彼女は、獅子の頭、ロバの長い牙、毛深いロバの体躯、そして猛禽類の爪を持つという、恐ろしい姿で描かれています。

特徴

ラマシュトゥは、母乳で育てている間や出産時に母親を脅かし、子供を誘拐すると信じられていました。病気の悪霊であるラバルトゥ、ラバス、アッハーズなどと関連付けられ、文書にも一緒に記述されています。しかし、彼女は悪い面ばかりではなく、ブタや犬を看病するという一面も持ち合わせています。像の表現としては、蛇を掴み、ロバの上に立つか、跪く姿で描かれることが多いです。

また、ラマシュトゥは悪霊リリスと同一視されることもあります。リリスもまた、メソポタミアにおける夜の魔の女神であり、「夜の魔女」として恐れられ、男児に危害を加えると信じられていました。聖書の『イザヤ書』では、リリスは夜の魔物または動物の一種として言及されています。さらに、ラミアとの関連も指摘されています。

ラマシュトゥのライバルは、なんと夫であるパズズです。通常、お守りを像の上に置き、ラマシュトゥの悪意から出産期の母親と幼児を保護するために、パズズが召喚されます。パズズは風と共に熱病をもたらす存在としてアッカド人に恐れられていましたが、悪霊の王であることから、手下の悪霊を統御する護符としても用いられていました。これは、いわゆる魔神信仰の一形態と言えるでしょう。

ラマシュトゥへの嘆きの詩

ラマシュトゥに関する嘆きの詩も残されており、医療が十分に発達していなかった多産多死社会の悲哀を伝えています。

参考文献

フレッド・ゲティングズ『悪魔の事典』青土社

関連項目

エヌマ・エリシュ
バビロン
アッカド
* セクメト

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