ルサイル

ルサイル：カタールの未来都市

ルサイルは、カタールの首都ドーハの北約23kmに位置する、ペルシャ湾岸に建設中の計画都市です。アッ＝ザアーインの南部に位置し、最終的には45万人を収容可能なインフラが整備される予定です。そのうち、居住者は25万人以下、オフィスワーカーが19万人、小売業従事者が6万人と想定されています。

ルサイルの特徴は、その多様な機能性にあります。マリーナ、住宅地、アイランドリゾート、商業地区、高級ショッピング街、レジャー施設、ゴルフコース、人工島、エンターテイメント地区など、様々な要素が計画的に配置されています。現在、都市建設は進行中で、カタール投資庁傘下の不動産会社カタール・ディアが開発を主導しています。

また、ルサイルは2022年カタールワールドカップの開催都市の一つであり、開幕戦と決勝戦の会場となるルサイル・アイコニック・スタジアムが建設されました。

名称の由来

ルサイルという名前は、カタールに自生する珍しい花の名前「لُوسَيْل（lūsayl/lūsail）」に由来します。市章もこの花をモチーフにしています。公式の英字表記は「Lusail」ですが、口語的な発音では「ルーセイル」「ルーセール」「ローサイル」「ローセイル」「ローセール」などと聞こえることもあり、ネット上では様々な表記が混在しています。

歴史

ルサイルの歴史は古く、1908年にはJ.G.ロリマーの著書「ペルシャ湾地名集」に記述が見られます。ロリマーは、1903年にシェイフ・ジャースィムが少数の部族と共にルサイルに定住したと述べています。シェイフ・ジャースィムは1913年に亡くなり、ルサイルに埋葬されています。彼の活動拠点であった「創設者の砦」は、現在ではカタールの重要な文化財となっています。

ルサイルの開発計画が初めて発表されたのは2005年です。2002年には、ルサイルとその郊外が、カタールで初めて外国人が不動産を所有できる地域となりました。2013年までに、ルサイルの80％以上の区画が販売済みとなり、2018年にはインフラ計画の80％以上が完了したと発表されました。

地理

ルサイルは、東はペルシャ湾、西はアルコールコーストロードに囲まれています。ドーハのリッツ・カールトンホテルの北約7kmに位置し、ドーハ・ゴルフクラブがあるアルエグラ地区は市の範囲外です。ルサイル開発以前からあったアルカラエジとジャバルトゥアイレブという2つの集落は、ルサイル市内に組み込まれました。

開発前、この地域にはオーレドゥー駅、セメント工場、3つの農場しかありませんでした。地下水の水質は悪く、塩分濃度が高いため、農業には適していません。この地域では、耐塩性や耐干ばつ性の植物しか育ちません。また、干潟には9種類の鳥が生息していますが、草の被覆率は30％未満です。

スポーツ

ルサイルには、2022年カタールワールドカップの会場となったルサイル・アイコニック・スタジアムがあります。収容人数は8万人を超え、開幕戦と決勝戦が開催されました。スタジアムのデザインは、伝統的なダウ船の帆から着想を得ています。また、2015年世界男子ハンドボール選手権の会場となったルサイル・スポーツ・アリーナや、カタールグランプリが開催されるルサイル・インターナショナル・サーキットも市内にあります。

産業

ルサイルには、カタラホスピタリティやルサイル不動産開発会社など、多くの非エネルギー関連企業が本社を置いています。また、工業地域には多くの建設会社があり、コンクリート処理プラントなどが運営されています。

教育

ルサイルのマスタープランでは、最終的に26,000人の学生を収容できる36の学校が設置される予定です。

インフラ

ルサイルには、合成天然ガス（SNG）を供給するガスパイプラインネットワークや、地下に建設される変電所などのインフラが整備されています。また、市内の各地区には多数の公共公園があり、フォックスヒルズ地区には10.3ヘクタールの緑地を持つ33の公園があります。

ルサイルの交通は、6つの主要道路によってドーハと接続されており、ドーハメトロのレッドラインやルサイルLRTを利用してアクセスすることができます。

住宅と宿泊施設

ルサイルは、計画完了時には25万人の居住者人口を擁する予定で、将来的には45万人に増加すると考えられています。現在、市内には22軒のホテルが開業済みまたは建設中です。

まとめ

ルサイルは、カタールの未来を象徴する都市として、その建設は現在も進行中です。多様な機能性と先進的なインフラを備えたこの都市は、今後ますます発展していくことが期待されます。

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