レイキ

レイキ（霊気）とは

レイキ（霊気、英：Reiki）は、手当て療法・エネルギー療法の一種であり、民間療法として知られています。日本で生まれた「霊術」の潮流の中で、手のひらから癒しのエネルギーを発するという考え方が一般的に使われていました。レイキは、臼井甕男が創始した臼井霊気療法が海外で独自に発展したもので、現在では世界中で広く実践されています。

レイキは、身体に備わっている自然治癒力への信仰に基づいており、施術者は患者に手を当てる、あるいはかざすことで、エネルギーを流すと考えています。西洋ではニューエイジの考え方の一つとして人気があり、健康維持や自己啓発に有効だと主張されています。宗教的な手当てに似ているものの、レイキ関係者は宗教ではないとしています。

「Reiki」という言葉は、日本発祥の言葉として、欧米を中心に海外で広く認知されており、イギリスの辞書にも収録されています。

レイキの概要

レイキの基本的な考え方は、手をかざすか、直接体に触れて生命エネルギー「レイキ」を流し込むというものです。西洋に広まる過程で、臼井が始めた原型から変化を遂げ、さまざまな流派が生まれました。中には、楽器を演奏するような流派も存在します。

レイキの効果としては、生命力の活性化、生体内のエネルギーバランスの調整、自然治癒力の向上などが挙げられます。また、臼井による「五戒」を唱えることで、心身を磨き、自分と周りの人の幸福を増進するとされています。

レイキは、アチューンメント（伝授）という儀式によって誰でも習得可能になります。この儀式は、エネルギーの回路を開き、より効率的にエネルギーを使えるようにするもので、受ける側の知識やトレーニングは不要です。アチューンメントは有料のセミナー形式で行われることが多く、レベルが上がるにつれて費用も高額になる傾向があります。

レイキの歴史

現在知られているレイキは、臼井甕男が始めた臼井霊気療法が海外で独自に発展したものです。臼井は、約100年前に日本で霊気を創始し、弟子である林忠次郎から日系アメリカ人のハワヨ・タカタに伝えられました。タカタによってアメリカに広められ、彼女の弟子たちによって世界中に普及しました。

レイキの起源については、古代チベットや古代インドに由来するという説もあり、臼井は再発見者または中興の祖とみなす考え方もあります。海外では、レイキは宇宙のエネルギーであり、古代から存在すると考えるのが主流です。この考え方では、レイキは釈迦やイエスの癒しの力と関連付けられています。

また、チベット仏教の影響を受け、チャクラの概念を取り入れた流派も存在します。しかし、虹色と7つのチャクラを関連付ける考え方は、近代神智学に由来するもので、伝統的なものではありません。

現在、レイキは多様化しており、さまざまな流派や技術、考え方が生まれています。海外に普及したレイキは、日本では「西洋レイキ」とも呼ばれています。

早稲田大学の平野直子は、レイキが地域や時期によって異なる特徴や強調点を持つと指摘しており、組織的な中心を欠いたことが多様性を生んだ要因だと述べています。しかし、レイキは常に近代科学による心身観を問題化する言説の中にあり、一定の同一性も維持されています。

レイキの施術方法

西洋レイキの基本的な施術方法は、「12ポジション」と呼ばれるもので、施術者が受け手の全身12ヶ所に順番に手を当てていきます。所要時間は30分から60分程度ですが、レイキは柔軟に変化しながら伝えられているため、短縮することも可能です。この12ポジションは、ハワヨ・タカタによって工夫されたもので、ある程度自由なやり方が認められています。

西洋レイキでは、アチューンメント後、21日間を自己浄化期間とし、12ポジションの自己ヒーリングを推奨しています。レイキの施術は、セッション、トリートメント、ヒーリングなどと呼ばれます。

西洋レイキの系統では、ハンドポジションを説明する際に、インド哲学のチャクラ理論が用いられることが多く、チャクラはエネルギーのセンターとされています。レイキの施術は、アチューンメントによって誰でもできるようになり、特別な工夫や努力は不要とされています。

また、臼井の「五戒」を日々唱えることが推奨されています。

レイキとは何か

「霊気」は、明治末から昭和初期にかけて流行した霊術で、手のひらから放射される癒しのエネルギーを意味する一般的な言葉でした。当時は、治療術として「お手あて」「お手かざし」などと呼ばれていました。

霊術の元の一つであるメスメリズムは、動物磁気の存在を想定し、その調和を回復させることで病気の治癒を目指すもので、ヨーロッパの伝統的な世界観にも連なるものです。レイキは、人間に備わっている自然治癒力に対する、東洋の世界観や宗教観に基づいていると認識されています。

レイキの施術者は、手から普遍的なエネルギーであるレイキを患者に送り、回復を促していると考えています。海外では、レイキはキリスト教の光、チベットのルン、インドのプラーナなど、さまざまな文化や用語で説明されています。

現在、レイキは、療法とそれに用いるエネルギーの両方を指します。エネルギーとしてのレイキは、宇宙エネルギー、生命エネルギーなどと説明され、人間の身体を流れて生命を維持すると考えられています。

アチューンメント・シンボル・マントラ

レイキは、アチューンメントという儀式を受けることで、誰でもヒーリングができるようになるとされています。アチューンメントは、エネルギーの回路を開き、流れを大きくするものと考えられており、セミナー形式で行われることが多いです。

セミナーでは様々なことが教えられますが、重視されるのはアチューンメントとシンボル、マントラです。レイキの能力は3段階または4段階に分けられ、アチューンメントで伝えられるシンボルとマントラによって能力が向上するとされています。シンボルは特定の印、マントラは特定の言葉で、梵字との関連性も指摘されています。

シンボルとマントラは秘伝とされており、一般には公開されていませんが、書籍やインターネットで公開されているものも存在します。しかし、秘伝を軽々しく公開することに対して批判的な意見もあります。

海外では、様々な流派が存在するため、シンボルの種類やアチューンメントの方法、ヒーリングの方法、費用も異なります。

レイキの習得にはアチューンメントだけで十分とする考え方もありますが、臼井が伝えた心をより重視する意見も存在します。

レイキの特徴

レイキの実践者は、レイキの特徴として、簡単かつ効果があることを挙げています。具体的には、以下のような点が特徴として挙げられます。

トレーニングや修行が不要
修行を怠ってもパワーが失われない
ヒーリング中の集中が不要
気を入れたり抜いたりする必要がない
邪気を受けにくい
遠隔ヒーリングが可能
他のテクニックと併用可能
信じる信じないに関わらずエネルギーが流れる
本質を向上させる
効果例、実践例が豊富

これらの特徴は、多くのレイキ関係者にとって共通認識とされており、訓練や集中を必要としない点は他の手当て療法と大きく異なります。

五戒

五戒は、臼井の教えとされる「招福の秘法・万病の霊薬」の通称です。臼井は、五戒を朝夕に唱えることで、幸福を招き、あらゆる病を癒すことができるとしました。これは、仏教における五戒とは異なるものです。

五戒は、精神修養のためのものであり、レイキにおいても日々唱えることが推奨されています。努力を必要としないとされるレイキにおいても、日常的な努力が推奨されていることが分かります。

五戒と非常によく似た句が、鈴木美山の「健全哲学」や高木秀輔の『人体アウラ霊気術』にも見られます。これらのことから、霊気は臼井の独創というより、同時代の精神療法のコンテクストに根ざした存在であったと考えられます。

レイキの歴史

前史

明治時代に海外から導入された催眠術やメスメリズムと、日本の呪術文化が融合して、「霊術」という民間療法の潮流が生まれました。レイキは、この霊術の中で一般的に使われた用語であり、手のひらから癒しのエネルギーを発するという考え方が一般的でした。

創始者

臼井甕男は、「安心立命」の境地を求めて鞍馬山で21日間の断食を行い、その結果、癒しの能力を得たとされています。この体験が、臼井式レイキの出発点となりました。臼井は、この能力を霊気と名付け、臼井霊気療法学会を設立し、負傷者の手当てに活躍しました。

臼井の活動期間は短かったものの、海外に後継者を得たことで、レイキは世界的に普及しました。

臼井の生涯に関する情報は、書籍によって大きく異なり、海外のものほどドラマチックな内容になっています。

海外への伝承と世界的普及

臼井の弟子である林忠次郎は、ハワイ生まれの日系アメリカ人であるハワヨ・タカタにレイキを伝えました。タカタは、アメリカにレイキを広め、彼女の弟子たちによって世界中に普及しました。

ハワヨ・タカタは後継者を指名しておらず、彼女の死後、組織は分裂しました。その後、レイキは世界中に広まり、現在では多くの国で実践されています。

日本への逆輸入および伝統霊気

日本では、戦後GHQによって霊術が禁止されたため、レイキは一時的に衰退しました。しかし、1980年代にニューエイジブームと共に、西洋レイキとして逆輸入され、再び広まり始めました。

海外では、日本の伝統的なレイキは途絶えたと考えられていましたが、現在では臼井霊気療法学会などの団体が存在し、伝統的な霊気を伝えています。

レイキの系統は、大きく分けて西洋レイキと伝統レイキに分けられます。

レイキの系統

レイキの系統は、大きく分けると以下のようになります。

西洋レイキ：林忠次郎からハワヨ・タカタへと伝わった系統で、欧米で広く普及し、日本にも逆輸入されました。
レイキ・アライアンス：ハワヨ・タカタの孫であるフィリス・フルモトの系統。
ラディアンス・テクニーク：ハワヨ・タカタの弟子であるバーバラ・レイの系統。
臼井靈氣療法学会：臼井自身が設立し、戦後は一般非公開となりました。
たなすえ（手末）の道：江口俊博から宮崎五郎へと伝わった系統で、「手のひら療治」と呼ばれています。
エンソフィック・レイキ:グッドニー・グドナソンによって編纂された系統。手当療法としてのレイキとは一線を画している。

西洋レイキでは、「臼井-林-タカタ」の系統を唯一の本流とみなす傾向がありますが、バーバラ・レイは、林の後継者は複数いたと述べています。

近年では、土居裕が臼井靈氣療法学会と西洋レイキの両方を学び、西洋レイキに伝統レイキを取り入れた現代レイキを開きました。他にも、西洋レイキと伝統レイキを融合させようとする系統が複数存在します。

また、レイキ・アライアンスの系統は、インドの神秘家であるバグワン・シュリ・ラジニーシ（オショウ）の弟子に伝わった流れもあり、オショー・レイキと呼ばれています。

レイキは、ヒーリングの一般名称として使用される場合もあるため、臼井式とは関係のないヒーリングがレイキを名乗ることもあります。そのため、「臼井」または「ウスイ」を前に付加して区別することもあります。

臨床研究

レイキに関する臨床研究は少数ですが、線維筋痛症、疼痛、がん、うつなどの疾患や、健康全般に対する効果を調べた研究があります。これらの研究は、対象人数が少ないことや、無作為化比較試験が行われていないものが多いなど、信頼性が高いとは言えません。

コクラン共同計画の調査では、疼痛緩和の可能性が示唆されましたが、2013年に取り下げられています。また、不安やうつに対して有効性を示す十分な証拠はないと結論付けられました。

いくつかの研究では偽薬との差が見られましたが、メタアナリシスでは効果がないとする指摘もあります。

危険性

レイキのような手当て療法は、副作用が少ないとされていますが、必要な医療が遅れる危険性があります。そのため、癌などの病気の治療において、通常医療の代替として用いるべきではなく、あくまで補助として利用するべきであるとされています。

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