レイルウェイズ

ゲームメーカーであるバンダイナムコエンターテインメント（かつてのナムコ）が手掛ける野球ゲームシリーズに登場する、実在しないプロ野球チームの一つです。「Rチーム」と略されることもあります。チーム名の表記については、初期には「レールウェイズ」とされていた時期もありましたが、後に「レイルウェイズ」が一般的となり、現代のゲームでもこの表記が採用されています。

登場作品の変遷

レイルウェイズが初めて姿を見せたのは、1986年12月に発売されたファミリーコンピュータ用ソフト『プロ野球ファミリースタジアム』（通称『初代ファミスタ』）です。続く『プロ野球ファミリースタジアム'87』、そしてPCエンジン版の『プロ野球ワールドスタジアム』と、初期の代表的な3作品に連続して登場し、プレイヤーに親しまれました。

その後しばらくゲームへの登場はありませんでしたが、2005年4月発売のプレイステーション2用ソフト『ベースボールライブ2005』にて、ナムコスターズなどと共にオリジナルチーム作成用のデータとしてチーム名が復活します。これは実質的な続編である『プロ野球熱スタ2006』にも引き継がれ、さらに2006年から2014年まで運営されていたオンラインゲーム『プロ野球ファミスタオンライン』でもオリジナルチーム作成用のデータとして利用可能でした。

単独チームとしての登場は、初期シリーズ以来19年ぶりとなる2007年発売のニンテンドーDS用ソフト『プロ野球ファミスタDS』で実現します。ただし、この時のチームは、初期とは全く異なる構成で編成されています。

初期シリーズにおけるレイルウェイズ

『初代ファミスタ』において、このチームは当時のパシフィック・リーグに加盟していた3つの球団、阪急ブレーブス、南海ホークス、近鉄バファローズから選抜された選手で構成された連合チームでした。これらの球団には共通点があり、いずれも親会社が鉄道会社であったため、ゲームの説明書では「関西の鉄道連合チーム」と紹介されています。『ファミスタ'87』では阪急の選手が外れますが、翌年のPCエンジン版ワースタでは再び阪急が含まれる構成に戻ります。

当時の関西には阪神タイガースというもう一つの鉄道会社系球団（セ・リーグ）が存在しましたが、レイルウェイズに阪神の選手は含まれていませんでした（これは後のDS版で変更されます）。

こうした連合チームが組まれた背景には、当時のゲームソフトが持つデータ容量の制約がありました。パ・リーグでは西武ライオンズのみが単独チームとして登場し、レイルウェイズの他にロッテオリオンズと日本ハムファイターズの連合チームである「フーズフーズ」が存在しました。レイルウェイズやフーズフーズのような混成チームが登場した要因としては、セ・リーグと比較してパ・リーグの人気が当時低かったことも挙げられています。

チームのユニフォームは、南海ホークスのホーム用ユニフォームをベースにしたデザインで、白を基調とし、帽子とアンダーシャツに緑色を用いていました。

『初代ファミスタ』では、後にプロ野球史に名を残すことになる「まつなか」「ぶうま」「やまもと」「むらかみ」「やまだ」「かどた」といった選手たちが集結しており、説明書では「最もパワーのある打線」「優勝候補No.1」と称されるほど強力なチームでした。しかし、『ファミスタ'87』では阪急の選手が抜けたことや、メジャーリーガーズチームの登場などにより、相対的に戦力が低下したと評されました。

PCエンジン版ワースタで初期の構成に戻った後、1988年12月発売の『プロ野球ファミリースタジアム'88』からは、パ・リーグの全6球団がそれぞれ単独のチームとして登場するようになり、レイルウェイズとフーズフーズは一時的に姿を消すこととなります。

名称表記に関する補足

レイルウェイズを構成した球団の中には、後に親会社や球団名が変更されたケースがあります。例えば、阪急ブレーブスの後身であるオリックスが「ブルーウェーブ」に名称を変更したのに合わせ、ゲーム内でのチーム名も「ブラボーズ」から「ブルーウィンド」に変更されましたが、一部の作品では異なる名称が使用された例もあります。南海ホークスについても、ダイエーへの身売り後にゲーム内で「ホーネッツ」や「ホームズ」といった名称が使われました。

ファミスタDSでの新たなレイルウェイズ

初期シリーズから19年ぶりに単独チームとして復活した『プロ野球ファミスタDS』のレイルウェイズは、構成が大きく変更されました。初期の構成球団が親会社を手放したり合併したりした後の時代背景を踏まえ、このチームは発売当時現存する私鉄系持株会社を親会社とする球団、パ・リーグの埼玉西武ライオンズとセ・リーグの阪神タイガースの連合チームとして登場しました。西武と阪神はそれぞれ単独チームとしても選択可能です。

これらの球団は所属リーグが異なるものの、「私鉄系」であり、「猛獣」をニックネームに持つという共通点があります。

Aクラス常連であった両球団の連合ということもあり、チームの実力は非常に高い設定でした。ゲーム発売年の2007年に西武は久々にBクラスに転落しますが、ゲームのデータはシーズン開幕直前（前年最終成績2位）の状態を反映しています。

関連するエピソード

レイルウェイズが登場した時代から時が経ち、2004年末には近鉄バファローズとオリックスブルーウェーブ（阪急の後身）の合併が、翌2005年初頭には南海ホークスの後身であるダイエーホークスのソフトバンクへの売却が行われるなど、皮肉にもレイルウェイズを構成した3球団が2004年から2005年にかけてのプロ野球再編問題の中心となりました。
実は、レイルウェイズ登場前の1973年のプロ野球再編の際にも、南海と近鉄の合併案が浮上したことがありました。
プロ野球のオフシーズンに静岡県の草薙球場で行われていたパ・リーグオールスター東西対抗戦では、1981年から2003年までの間、西軍のメンバーが初期レイルウェイズと同じ阪急・南海・近鉄の3球団の選手で構成されていた時期があります。
2013年以降、オリックス・バファローズ主催試合の一部（OSAKAクラシックなど）において、オリックスの選手が近鉄バファローズの、対戦相手である福岡ソフトバンクホークスの選手が南海ホークスの復刻ユニフォームを着用して試合を行う機会が設けられています。
* ナムコ以外のメーカーの野球ゲームにも、レイルウェイズに似た構成のチームが登場した例があります。1989年にカプコンがリリースしたアーケードゲーム『CAPCOMベースボール助っ人外人大暴れ!』に登場する「オールウエスタン（AW）」は、レイルウェイズと同様に阪急、南海、近鉄の選手で構成されており、これは球団の身売りや移転を経た上での「西日本連合」というコンセプトで編成されたものでした。

このように、レイルウェイズは単なるゲーム内の架空チームに留まらず、日本のプロ野球、特にパ・リーグの歴史や背景と深く関わる存在として、多くの野球ゲームファンに記憶されています。

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