レッドラム

レッドラム：グランドナショナル三冠の伝説

レッドラムは、イギリスが生んだ伝説的名馬です。父クオラム、母マレッドを両親に持ち、鹿毛の雄々しい体躯の持ち主でした。その名を世界に知らしめたのは、イギリス競馬界の最高峰レース、グランドナショナルにおける圧倒的な強さです。170年以上の歴史を誇るグランドナショナルで、三度の優勝という前人未到の偉業を達成したのです。この記録は、いまだ破られていません。

レッドラムのキャリアは、スプリント競走から始まりました。しかし、3歳の秋、ブラサートン夫人によって購入され、運命の転機を迎えます。名伯楽、ボビー・レントン調教師の指導の下、障害競走に転向したのです。レントン調教師は、1950年のグランドナショナル優勝馬を手がけた経験を持つベテランでした。レッドラムは、その卓越した指導の下で着実に成長を遂げ、才能を開花させ始めます。

その後、レントン調教師の引退に伴い、トニー・ギリアム調教師に師事。転機は1972年秋に訪れます。ドンカスターセールでノエル・ル・メール氏に6,000ギニーで落札され、ジンジャー・マッケイン調教師の厩舎へと移籍しました。この移籍が、レッドラムの運命を大きく変えたと言えるでしょう。マッケイン調教師の下で、レッドラムはシーズン開始から5連勝という驚異的な成績を収めます。

そして迎えた1973年、満を持してレッドラムはグランドナショナルに初挑戦します。1番人気は、オーストラリア出身のクリスプでしたが、レッドラムは軽量のアドバンテージを生かし、ゴール前で劇的な差し切り勝ちを収めました。続く1974年も、12ストーンという重い斤量を背負いながらも、当時の強豪レスカルゴを退け、グランドナショナル連覇という偉業を達成しました。さらに同年のスコティッシュグランドナショナルも制覇し、その実力を証明しました。1975年と1976年は惜しくも2着に終わりますが、この経験が、レッドラムをさらに強くしたことは間違いありません。

1977年、12歳となったレッドラムは、グランドナショナル三度目の挑戦に臨みます。2番人気で出走したレースは、波乱の展開となりました。1番人気のアンディパンディが転倒するアクシデントに見舞われたのです。その混乱の中、レッドラムは抜け出し、後続を突き放して、見事グランドナショナル三冠を達成しました。この勝利は、レッドラムの不屈の精神と、卓越した能力を証明するものでした。

1978年、故障のため現役を引退。その後も様々な競馬場で盛大な歓迎を受け、高い人気を博しました。そして1995年、30歳でその生涯を終えました。現在、レッドラムは、グランドナショナルが行われるエイントリー競馬場のゴールライン近くに埋葬され、多くのファンにその偉業を偲ばれています。なお、レッドラムの調教師を務めたジンジャー・マッケインは、2004年に再びグランドナショナル優勝という栄光を手にしています。レッドラムの偉大な功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。

主な勝ち鞍:

グランドナショナル (1973年、1974年、1977年)
スコティッシュグランドナショナル (1974年)

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