レンブ

レンブ（蓮霧）とは

レンブは、フトモモ科ジャワフトモモ（学名：Syzygium samarangense）の果実であり、その独特な形状と食感で知られています。別名としてジャワフトモモ、オオフトモモとも呼ばれます。

名称

種小名の「samarangense」は、中部ジャワ州のスマランに由来します。マレーシアでは「jambu」（ジャムブ）と呼ばれ、産地や色によってさらに細分化された呼び方が存在します。台湾語では、マレー語の「jambu」を音訳した「レンブー」という発音が用いられ、漢字では「蓮霧」と表記されます。日本語の「レンブ」は、この台湾語の発音に倣ったもので、沖縄では「デンブ」と訛って呼ばれることもあります。中国語では、台湾と同様に「蓮霧」と表記しますが、読み方は「リェンウー」となります。

植物学的な特徴と分布

レンブの原産地はマレー半島です。現在では、台湾、インド、フィリピン、マレーシアなど、亜熱帯から熱帯地域で広く栽培されています。レンブの木は常緑小高木で、4月から5月頃に白い花を咲かせます。特徴的なのは、無数の放射状に広がる雌しべです。果実は直径約3-7cmで、赤、緑、黒など様々な色があります。特に黒色のものは高級品とされ、食感も良く、糖度も高い傾向があります。表面はロウ細工のような独特の触感で、英語名の「Wax Apple」が示す通りです。この表面は傷や衝撃に弱いです。果実の中心部分はスカスカしており、種がないものも多いです。

近縁種には、フトモモ、ミズレンブ(S. aqueum)、グルミチャマ(S. dombeyi)などが挙げられます。

食用

レンブの味は、リンゴと梨を合わせたような淡い味わいで、サクサクとした食感と爽やかな酸味が特徴です。果汁は少なめです。生食が一般的で、皮を剥かずにそのまま食べられます。ただし、割れ目の部分やヘタの周辺は食べ残すことが多いです。色が濃く、割れ目が深く窄まっているほど甘い傾向があります。また、内部に昆虫の幼虫が繁殖しやすいという特徴も持っています。

台湾では、グアバなど他の淡白な味の果実と同様に、「酸梅粉」と呼ばれる梅やサンザシの実の乾燥粉末に、砂糖、食塩、サッカリン酸ナトリウム、着色料などを配合した調味料をまぶして食べることがあります。屋台などで購入すると、小袋に入った「酸梅粉」がサービスで付いてくることがあります。

歴史

17世紀、オランダによるアジアでの植民地拡大に伴い、レンブの栽培地も広がりました。日本では、沖縄や奄美群島の他、一部地域でハウス栽培も行われています。2000年代には台湾から中国への輸出も行われていましたが、2021年には中国側が害虫の発生を理由に輸入を禁止する措置をとりました。

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