スマラン

スマラン（インドネシア語：Kota Semarang）は、インドネシアの中部ジャワ州の州都であり、ジャカルタ、スラバヤ、メダン、バンドンと並ぶインドネシア五大都市の一つに数えられます。人口は約190万人（2021年）を擁し、サマラン、セマランとも表記されます。

歴史

スマランは、古くから歴史的に重要な役割を担ってきました。明朝時代の鄭和の南海遠征では、その分遣隊がこの地に上陸した記録が残っています。オランダ植民地時代には、1867年にインドネシア最初の鉄道が整備され、ジャワ島内陸部のプランテーション農産物がスマラン港から世界市場へ輸出される重要な拠点となりました。

20世紀初頭には、東インド共産党（後のインドネシア共産党）が主導する労働運動の中心地となり、「赤いスマラン」と呼ばれることもありました。太平洋戦争中は日本軍に占領され、終戦後には旧日本軍の武器引き渡しを巡って、インドネシア独立派と旧日本軍との間でスマラン事件が発生しました。

交通

空港:
スマランには、アフマド・ヤニ国際空港があり、国内外へのアクセスを担っています。

道路:
東西方向にはスラバヤからジャカルタへ至る国道（北ジャワ回廊）が、南方にはジョグジャカルタへ至る国道が延びています。市内中心部には、これらの道路を結ぶ環状の有料高速道路が存在します。この環状有料道路は、1970年代にスマラン市を含む地域全体の経済活性化を目的に計画され、その後、ジョグジャカルタ方面へ路線が延伸されました。

鉄道:
スマランは、ジャワ島における鉄道発祥の地でもあります。1864年にジャワ島初の鉄道区間として着工し、1867年にスマラン - タングン間が開通しました。当初は標準軌で敷設されましたが、建設費の問題から後に狭軌に変更されました。スマランは、ジャカルタとスラバヤを結ぶ北幹線と、スマランから南下してソロ（スラカルタ）へ向かう路線のジャンクションとなっています。

港:
タンジュン・エマス港は、中部ジャワ州最大の港であり、ジャワ島の中心に位置します。ジャカルタのタンジュンプリオク港の代替港としての役割も担い、港湾面積や水深の拡張工事が進められています。

経済

スマランには、チャンディ工業団地やBSBシティ工業団地が存在しますが、日系企業向けの工業団地はまだなく、現地サポート体制の充実が課題となっています。また、企業の移転が活発なため、分譲価格が上昇しており、いずれの工業団地も満杯状態となっています。現在、ムガン・グループという地場企業グループがサユン総合エコ工業団地を建設中です。

スマランに本社を置く大手企業としては、ジャムウと呼ばれる伝統的な薬草を製造するシド・ムンチュルが挙げられます。同社は1951年創業で、2013年にはIPOを果たしています。

電力:
スマラン港の東端に位置するスマラン発電所は、総出力300MWの重油火力発電所であり、ジャワ島の東西を結ぶ500kVの基幹送電線に接続されています。ジャワ・バリ系統の電圧調整を担う重要な役割を果たしていますが、設備の老朽化が進んでおり、燃料を天然ガスに転換することが検討されています。発電所の運転はインドネシアパワー社が行っています。

日本との関係

スマラン市内を流れるガラン川周辺では、地下水の過剰な汲み上げによる地盤沈下が深刻化し、洪水が頻発しています。この問題に対し、2006年に日本の円借款プロジェクト「スマラン統合水資源開発計画」が開始され、放水路の建設や河川の拡幅、親水公園の整備などが進められています。

また、スマランには20社以上の日系企業が進出しており、物流拠点としての重要性が増しています。日本通運は2018年に「スマランロジスティクスセンター」を開設しました。

姉妹都市

スマランは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

サマリンダ（インドネシア、東カリマンタン州州都）
パル（インドネシア、中部スラウェシ州州都）
ブリスベン（オーストラリア、1993年1月提携）
ダナン（ベトナム）
北海市（中国）
福州市（中国）
マンチェスター（イギリス、2001年提携）
テグシガルパ（ホンジュラス）

関連項目

スマラン慰安所事件

外部リンク

Pemerintah Kota Semarang 公式ウェブサイトの Wayback Machine によるウェブアーカイブ

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