ワードパッド

ワードパッド：Windowsと共に歩んだシンプルなワープロソフト

ワードパッドは、Windows 95以降のバージョンに標準搭載されていた、基本的な文書作成を目的としたワープロソフトです。メモ帳よりも高度な機能を備えつつ、Microsoft Wordのような複雑な操作は必要ありません。長年にわたり多くのWindowsユーザーに親しまれてきましたが、2024年10月、Windows 11から姿を消しました。本稿では、ワードパッドの歴史、機能、そしてその終焉について詳しく解説します。

ワードパッドの機能

ワードパッドは、シンプルなテキスト編集だけでなく、箇条書きや字下げといった基本的な書式設定、画像の挿入にも対応していました。ただし、高度な機能は搭載されておらず、スペルチェックやシソーラス、表作成機能などは備えていませんでした。

初期のバージョンでは、Microsoft Word 6.0形式（.doc）で文書を保存していましたが、Windows 2000以降はリッチテキスト形式（.rtf）が標準となりました。プレーンテキスト形式（.txt）にも対応していました。Windows 2000からは、フォントスクリプトの設定が追加され、日本語フォントと半角英数字の表示に関する不整合も解消されました。

Windows XP以降はUnicodeに対応し、より幅広い文字セットを扱うことが可能になりました。しかし、Windows XP SP2以降はMicrosoft Write形式（.wri）に対応しなくなり、Windows Vista以降は.doc形式にも対応しなくなりました。Windows 7以降では、.docx形式と.odt形式に対応するようになりましたが、従来の.doc形式はサポートされませんでした。

Windows XP Tablet PC Edition SP2とWindows Vista以降では、音声入力による文書作成も可能になりました。ショートカットキーなど、操作体系はMicrosoft Wordと共通のものが多く、ユーザーにとって使いやすいインターフェースを提供していました。

ワードパッドのGUIの変遷

Windows XPでは、ツールバーのアイコンデザインが変更され、よりフラットなデザインとなりました。Windows 7では、GUIがリボンインターフェースに変更され、より直感的な操作が可能になりました。これらの変更は、Windowsの進化に合わせて、ユーザーエクスペリエンスの向上を目指したものでした。

ワードパッドの歴史

ワードパッドは、Windows 3.x/NT 3.xで使用されていたMicrosoft Writeの後継として登場しました。当初は、MFC（Microsoft Foundation Classes）を使用したサンプルアプリケーションとして公開されており、そのクラスは現在でも公開されています。

2023年9月、Microsoft社はワードパッドの更新終了と将来のリリースバージョンからの削除を発表しました。これは、Microsoftが新たな開発にリソースを集中させる戦略の一環と推測されます。そして、2024年10月、Windows 11からワードパッドが正式に削除されました。

ワードパッドの終焉

長年にわたり多くのユーザーに利用されてきたワードパッドは、Windows 11から削除されることとなりました。これは、Microsoftによる戦略的な判断によるものであり、より高度な機能を持つMicrosoft Office製品への移行を促進する意図があったと考えられます。ワードパッドは、シンプルで使いやすいワープロソフトとして、多くのユーザーに思い出深いソフトウェアとして記憶されることでしょう。

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