ウェジ

ウェジ部（Weji）について

ウェジ部（Weji）は、遼代から明代にかけてスンガリ河下流域からアムール川下流域にかけて住んでいた集団を指します。一般的には「ウジェ」とも表記され、特に特定の民族集団を示す名称ではなく、スンガリ河の北の森林地帯に住むトゥングース系の複数の集団を包括する呼称です。この名称はトゥングース語で「森林」を意味する「Weji」に由来すると考えられています。

名称の歴史

ウェジ部は、遼宋時代には「兀惹」「烏舎」「屋惹」「嗢熱」として記録されており、元代には「吾者」と記されています。明代には「兀者」との表記も見られますが、これらの名称はいずれも「森林」を意味するトゥングース語が起源とされています。一方、金代の記録では、同じ集団に対して「兀的改」や「烏底改」との表記があり、明代の資料でも「兀狄哈」と記されています。これらは「森の人」を意味する「Weji-kai」の音写説や、「野人」を意味する女真語の短縮形が原因とする説が存在します。

歴史的背景

ウェジ部が居住していた地域は、唐代には靺鞨の黒水部が存在し、その後のウェジ部はこの黒水部の後継的な存在と見なされています。遼代には、ウェジ族が南下しようとしていた際に、キタイによる攻撃を受けることが多く、998年にはウェジの族長が渤海に侵攻した結果、遼の軍に討伐され、以降は遼に貢物を捧げるようになりました。これにより、ウェジ族は遼の支配下に組み込まれていきます。

各時代におけるウェジ部の動向

遼代から金代

金においては、女真人が権力を握る中、ウェジ部に対する進攻が試みられました。しかし、金の軍事的な遠征は繰り返されるも、効果的な征服を果たすことはできず、ウェジ部の存在は続いていました。

元代

モンゴル帝国の成立後、ウェジ部は元朝の支配下に入りました。元代の終焉期には、ウェジ部内に不満が芽生え、叛乱が記録されています。これにより、ウェジ部は劇的に変遷し、彼らの主導権を確立していました。

明代

明朝の成立と共に、ウェジ部は南下を開始し、さまざまな民族との接触を持ちました。この過程で、彼らはフルン河流域に居住し、周囲の民族からフルンと呼ばれるようになりました。明朝の支配者により後押しされ、海西女直として知られるようになりました。

文化と影響

ウェジ部は、周辺のトゥングース系民族の中で重要な存在であり、その文化や言語は彼らを通じて現代に受け継がれています。彼らの歴史を理解することは、アムール川流域における民族の多様な歴史を知る手助けとなるでしょう。現代でも彼らの名称には影響を与え続けており、特に「ウデヘ」との関連性が指摘されています。

このように、ウェジ部（Weji）は、トゥングース系の民族としての重要な役割を持っており、その歴史は一つの地域文化を形成する基盤となっているのです。

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