黒水部

黒水靺鞨の歴史と部族構成

黒水靺鞨（こくすいまっかつ）は、ツングース系民族に属し、靺鞨七部の一つである。この民族は、主に16の異なる部族から構成されており、その中心を成す黒水部は、その名の由来でもある。彼らの部族は、主に現在のロシアや中国の沿海州、さらにはアムール川周辺に広がっている。

主要部落の分布

黒水靺鞨の主要な部落には以下のようなものがある：

• - 思慕部：ロシアのブレヤ川およびアムグン川の上流地域に位置する。
• - 郡利部：アムール川の河口に存在する部族。
• - 窟設部：沿海州北部を居住地域としている。
• - 莫曳皆部：沿海州の東南部に暮らす。
• - 拂涅部：牡丹江の下流以東、現在の中国の黒竜江省密山市周辺に居住。
• - 虞婁部：ハンカ湖の東側に位置する。
• - 越喜部：ウスリー川の東にある部落。
• - 鉄利部：現在の依蘭県周辺で、渤海人との交流の記録が残る。

これらの部族はそれぞれ独自の文化や生活様式を持ちながら、互いに緊密に関連している。

歴史的背景と統治

725年、唐の時代に安東都護の薛泰は黒水靺鞨に黒水州都督府を設置する提案を行った。この提案に従い、彼の下で部族のリーダーを都督として、各部族長を刺史として任命することで、この地域を効果的に管理することが決定された。これにより、黒水靺鞨は唐の支配下に組み込まれることとなった。

その後、渤海が台頭することによって、唐の衰退が進むと、黒水靺鞨の南部に位置する拂涅、虞婁、越喜、鉄利部などは、次第に渤海に併合されていく。渤海国はこれらの部族に対して影響力を持ち、文化的な同化が進むこととなった。

契丹の興隆時代が訪れると、契丹人は黒水靺鞨の人々を女真（女直）と呼ぶようになり、靺鞨という名称は次第に使われなくなっていった。この名称の消失は、彼らの歴史的アイデンティティにも影響を与えた。

文化的背景

黒水靺鞨の文化は、彼らの生活習慣や信仰にも深く根付いており、部族ごとに異なる伝承や儀式が存在している。また、食文化としては口噛み酒が有名で、酒造りは彼らの社会において重要な位置を占めている。さらに、靺鞨や渤海、野人女直などとの関連から、彼らの歴史的背景を知ることは、当時の国際関係や文化交流を理解する上でも重要である。これらの要素は、現代においてもなお研究が続けられており、黒水靺鞨の存在は歴史的にはもちろん、文化的にも重要な位置を占めている。

特に、ウスリー川やハンカ湖周辺の地域は彼らの生活の中心であり、その自然環境は彼らの生活様式や価値観に多大な影響を与えている。

もう一度検索