一本

一本とは

「一本」とは、武道、将棋、プロレスなど、勝負事において決着がついた状態を指す言葉です。

一般的な「一本」の意味

「一本」は、必ずしも最終的な勝敗を意味するとは限りません。二本勝負、三本勝負といった形式も存在し、「X本勝負」の場合、X本を先取した方が勝ちとなるルールや、X本の半分より多い本数を取った場合に勝ちとなるルールがあります。

空手: 十分な威力の突きや蹴りが決まる、もしくはノックダウンした場合。
剣道: 十分な威力の打突が決まる場合。
プロレス: フォールを奪われた場合。
関節技、絞め技: タップアウトを奪った場合。

柔道における「一本」

柔道における「一本」の概念は、時代とともに変化してきました。

1897年: 二本先取勝利の三本勝負が採用。一本勝負では必ずしも強い方が勝つとは限らないという嘉納治五郎の考えによる。
1900年: 講道館柔道試合審判規定制定時も、二本先取勝利の三本勝負。
大正時代初期: 「二本勝負」と呼ばれるようになる。
1916年: 団体戦を中心に、一部の試合で一本勝負が導入。
1925年: どちらかの競技者が一本を取った時点で試合が終了する、一本勝負となる。

柔道の判定基準

「一本」の判定基準は、講道館柔道試合審判規定（日本国内ルール）と国際柔道連盟試合審判規定（国際ルール）で異なります。
また、「技あり」を複数回取った場合にも「一本勝ち」が宣告されることがあります（「技あり、合せて一本」、「合わせ技一本」）。

1900年: 講道館柔道試合審判規定制定時、技ありの回数規定はなく、審判の判断で「技あり、合せて一本」を判断。
1925年: 二つの技ありで「技あり、合せて一本」となる。
2017年: 国際ルールで「技あり、合せて一本」が廃止。
2018年: 国際ルールで二つの技ありによる「技あり、合せて一本」が復活。

かつては、「指導3」（または「警告」）と「技あり」が与えられた場合、「総合勝ち」として「一本勝ち」と同等の扱いでしたが、現在は廃止されています。

講道館柔道試合審判規定（日本国内ルール）

投げ技: 技をかけるか、相手の技を外して、相当の勢いで相手を仰向けに倒した場合。または、先に「技あり」ポイントを持った状態で一本規定のどれか1つが欠けた、いわゆる「技あり規定をクリアしたとき」。
抑え込み: 30秒間抑え込んだ場合。または、先に「技あり」ポイントを持った状態で25秒間抑え込んだ場合。
絞め技、関節技: 相手が「参った」を表明した場合。または、絞め技、関節技の効果が十分現れた場合（選手が意識を失う、脱臼、骨折など）。

国際柔道連盟試合審判規定（国際ルール）

投げ技: 相手をコントロールしながら、強い力と速さで背中を大きく畳につけるように投げた場合。ブリッジで着地した場合も一本とみなされます。
抑え込み: 20秒間抑え込んだ場合。
絞め技、関節技: 相手が「参った」を表明した場合。または、絞め技、関節技の効果で選手が戦闘不能になった場合。
試合者の一方が2回目の「技あり」をとったとき
技ありポイントを持った状態で投げ技の技ありポイントを取ったとき、又は、抑え込みにおいて「10秒間抑え込んだとき」

剣道における「一本」

幕末期には十本勝負が一般的でしたが、明治時代に大日本武徳会で試合審判規定が制定され、三本勝負となりました。太平洋戦争中は、真剣勝負を想定して一本勝負が奨励されました。

関連項目

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