上七軒

上七軒：京都市最古の花街、その歴史と魅力

上七軒（かみしちけん）は、京都市上京区に位置する歴史ある花街です。その起源は室町時代、北野天満宮の再建時に残った資材で建てられた7軒の茶店に遡ります。「上七軒」という名前も、この7軒の茶店に由来しています。

繁栄の歴史

桃山時代、豊臣秀吉が北野で大茶会を開いた際、上七軒の茶店が団子を献上し、秀吉から大いに褒められました。この出来事がきっかけとなり、上七軒は西陣との結びつきを強め、花街として大きく発展しました。

江戸時代には、下の森や五番町に茶屋株を貸し出すなど、芸妓を中心とした花街として繁栄を極めました。幕末には、土方歳三が上七軒の芸妓や舞妓を相手に遊んだという逸話も残っています（真偽は不明）。

明治以降の変遷

明治時代から第二次世界大戦前までは、お茶屋50軒、芸妓・舞妓合わせて60名が在籍し、娼妓も3名いた上七軒ですが、戦争の影響でお茶屋の多くが廃業を余儀なくされました。しかし、1945年頃に再開すると、お茶屋35軒、芸妓50名ほどにまで回復しました。

しかし、西陣織産業の衰退とともに、上七軒も徐々に衰退し、芸妓の数は20名以下にまで減少しました。歌舞会が舞踊学校の優秀な生徒に『北野をどり』への出演を要請するほどでした。そのような状況下でも、芸妓が育っていきました。

戦後初の舞妓として『吉田家』の娘であるひろ子さんが店出ししましたが、後に襟替えをし、一時的に舞妓は姿を消しました。しかし、1981年3月、石川県出身の梅ぎくさんが久々の舞妓として店出しし、多くの祝福を受けました。彼女の登場をきっかけに、次々と舞妓が誕生しました。

1990年代前期には、歌舞会が雑誌やテレビで舞妓募集を呼びかけ、実際に7名の舞妓が誕生しましたが、伝統を重んじる一部の反対により、この試みは頓挫しました。しかし近年、インターネットを通じて舞妓を志願する女性が増加傾向にあります。2015年現在、舞妓は8名在籍しています。近年では、OLや薬剤師、大学卒業生から芸妓に転身する女性も現れ、話題を呼んでいます。

現在の上七軒

お茶屋や芸舞妓の数は時代によって大きく変動していますが、上七軒は室町時代から続く伝統を大切にしながら、新しい方向へと進んでいます。2001年には、上七軒一帯が上京北野景観整備地区に指定され、美しい景観が守られています。2010年には、明治30年代に建てられた歌舞練場が大規模な改修工事を終え、58年ぶりに『北野をどり』の杮落とし公演が行われました。これは、他の花街よりも早い時期の開催となりました。

2013年2月には、上七軒通りの電線地中化工事が完了し、石畳風の美しい道路に生まれ変わりました。常夜灯も設置され、風情ある街並みが演出されています。

北野をどり

毎年春には、上七軒歌舞練場で『北野をどり』が上演されます。少数精鋭で、磨き抜かれた技芸が披露されます。舞踊の流派は、明治以前は篠塚流、その後は花柳流です。茶道は西方尼寺で習っています。

伝統と革新

上七軒は、古くからの伝統を守りながらも、時代の変化に対応し、常に新しい試みに挑戦しています。その姿勢が、多くの人々を魅了し続けている理由でしょう。

現在（2015年）は、お茶屋10軒、芸妓・舞妓合わせて31名が在籍しています。

関連項目

花街
北野天満宮
天臺眞盛宗 眞盛山西方尼寺門跡（本光院門跡、蔵人御所、茶の寺、腰掛如来） – 真盛町
本光寺
豊臣秀吉
水上勉

主な行事

始業式
梅花祭（2月25日）
北野をどり
京都五花街合同公演
盆踊り（匠会）
ビヤガーデン（7月 – 8月）
ずいき祭
寿会
* 事始め

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