五十鈴川駅

五十鈴川駅：伊勢神宮への玄関口

三重県伊勢市中村町に位置する近畿日本鉄道（近鉄）鳥羽線の五十鈴川駅は、副駅名に『内宮前』を冠する、伊勢神宮へのアクセス拠点として重要な役割を担う駅です。駅番号はM75。1969年12月15日、鳥羽線の宇治山田～五十鈴川間開通と同時に開業、翌年には鳥羽駅まで延伸されました。その後、段階的な複線化を経て、現在に至ります。

駅名決定までの波乱

当初、近鉄側は近隣の地名に因み「古市口駅」を予定していました。しかし、開業直前に「内宮前駅」への変更案が出されました。これは、近鉄に既に「古市駅」（大阪府羽曳野市）が存在することによる混同回避の意図もありました。

しかし、この案に対し、伊勢市長および伊勢神宮（神宮司庁）から強い反対意見が出されました。伊勢市長は、内宮前という駅名では、伊勢神宮外宮への参拝客が伊勢市駅や宇治山田駅を素通りして内宮へ直接向かうことを懸念。神宮司庁も、駅と内宮との間に約2kmの距離があることから、参拝客への混乱を懸念したのです。

近鉄側は、開業直前まで駅名変更の調整を続けました。最終的に、近鉄副社長と伊勢市長との会談を経て、「五十鈴川（内宮前）」という駅名で合意に至り、運輸省に届け出られました。

駅構造と設備

五十鈴川駅は、盛土上の高架駅で、島式ホーム2面4線を有します。ホーム有効長は10両編成に対応しており、特急列車の発着にも対応可能です。駅舎は下り線側に位置し、改札口は1ヶ所です。2番線と3番線が主本線、1番線と4番線が待避線として使用されます。宇治山田寄り、鳥羽寄り両方に片渡り線が設置されているため、様々な列車の運行パターンに対応できます。具体的には、当駅始発の上り列車は下りホームから発車することもありますし、4番線からは鳥羽方面への発車も可能です。1番線が使用できない場合は、回送列車などが渡り線を活用して折り返し運転を行います。

列車運行と利用状況

五十鈴川駅には、阪伊乙特急、名伊乙特急、京伊特急など多くの定期旅客列車が停車します。阪伊甲特急、名伊甲特急は通常通過しますが、臨時列車として停車する場合もあります。2012年3月20日のダイヤ改正以降、当駅始発の特急列車も運行されるようになりました。また、快速急行、急行も当駅を始発・終着とする列車が多数設定されています。普通列車も毎時2～3本運行され、早朝と夜間には当駅発着の列車も運行されています。

駅は近鉄宇治山田駅が管理する有人駅で、PiTaPa、ICOCAに対応した自動改札機や自動精算機が設置されています。特急券は有人窓口で購入可能ですが、定期券の販売は行っていません。行先案内表示は液晶ディスプレイ式です。

乗降客数は年々増加傾向にあり、近年では1日平均3000人以上が利用しています。

駅周辺情報

駅周辺には三重交通バス、伊勢二見鳥羽周遊バス（CANバス）、参宮バス、伊勢市コミュニティバス「おかげバス」など複数のバス路線が乗り入れており、伊勢神宮内宮や周辺の観光地へのアクセスが容易です。

隣の駅

近鉄鳥羽線
宇治山田駅 - 五十鈴川駅 - 朝熊駅

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