五平餅

五平餅（ごへいもち）

五平餅は、中部地方の特に山間部に伝わる伝統的な郷土料理です。主に長野県、岐阜県、富山県、愛知県、静岡県の各地域で親しまれています。多くの場合、五平餅は半搗きの粳米を主素材とし、特製のタレを付けて串焼きにされます。

概要

五平餅の基本的な製法では、米を炊いてから潰し、特定の形状に成形します。一般的な形は「わらじ型」ですが、団子型や御幣型、ひょうたん型、木の葉型、丸型など多様です。焼き加減やタレの種類も店舗によって異なり、地域ごとに独自の特徴があります。

具体的には、タレには味噌や醤油を基にしたものがあり、さらに胡麻、くるみ、落花生、エゴマ等が加えられることがあります。さらには、卵やハチミツ、蜂の子を加えたバリエーションも存在し、地域ごとに工夫が凝らされています。特に岐阜県恵那市の旧串原村では、毎年11月3日に開催される「ヘボまつり」で、ヘボ（蜂の子）を練り込んだ特製の「ヘボ五平」が名物となっています。

一般的な作り方

五平餅の基本的な作り方には、いくつかの手順があります。まず、粳米を十分に炊き、その後、潰して均一な状態にします。続いて、潰した米を杉板や竹串に「わらじ型」と呼ばれる形に練りつけ、素焼きします。この時、地域によって塩や小麦粉などの材料が加えられることも。

タレは非常に多彩で、季節や地域によって異なる調味料が使用されます。醤油や味噌に胡麻やくるみ、エゴマを混ぜたものが一般的ですが、甘さを加えるため砂糖を用いることもあり、甘めの味わいに仕立てることがあります。

形を成形した米にタレを塗り、香ばしく焼き上げることで、焼きたての五平餅が完成します。

由来と歴史

五平餅の正確な起源は不明ですが、江戸時代中期にはすでに存在していたと考えられています。その形状から「五平五合」と呼ばれ、供物として神に捧げられたという説もあります。別の説では、ある人物が飯を潰して味噌を付けて食べたことが始まりとされています。米が貴重だった昔、五平餅は祭りや祝いの場で食べられる特別な食材とされていました。

メディアでの登場

五平餅は、さまざまなメディア作品にも登場しています。例えば、雨隠ギドによる漫画『甘々と稲妻』や、アニメ『クレヨンしんちゃん』の第887話では、五平餅を作るシーンが描かれています。また、映画『君の名は。』にも登場し、特に岐阜県にある五平餅店が聖地巡礼スポットとして紹介されています。さらに、NHKの連続テレビ小説『半分、青い。』では、五平餅の焼き方を学んだお店が登場し、この作品をきっかけに多くの人が五平餅に興味を持つようになりました。

おわりに

五平餅は、地域ごとの特色を楽しめる郷土料理であり、食べるだけでなく、その作り方や歴史、メディアへの登場によっても多くの人々に親しまれています。今後も、この伝統的な料理が世代を超えて愛され続けることでしょう。

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