京都府立総合資料館

京都府立総合資料館：歴史と資料、そして新たな拠点へ

京都府立総合資料館は、京都府京都市左京区に存在した、図書館、文書館、博物館の機能を統合した総合文化施設でした。京都府に関連する膨大な図書、古文書、美術工芸資料などを収集・保管し、研究・公開することを目的としていました。

多彩なコレクション

同館は、一般図書約32万冊に加え、京都府発足以来の行政文書、そして国宝「東寺百合文書」を始めとする数々の貴重な歴史資料を所蔵していました。これらの資料は、単なる資料保管にとどまらず、歴史研究や文化理解に大きく貢献するものでした。

特に注目すべきは、国宝の「東寺百合文書」です。奈良時代から江戸時代後期までの膨大な文書群は、経済史、仏教史、そして日本史全般の研究において、極めて重要な史料として位置付けられています。その保存状態の良さも高く評価されています。重要文化財にも指定されている「東寺観智院伝来文書典籍類」や「革嶋家文書」、そして京都府行政文書なども、同館のコレクションを象徴する貴重な資料です。

その他にも、著名な人物の蔵書、遺品なども数多く収蔵していました。例えば、元京都府知事の蜷川虎三氏や元京都文化博物館長の吉田光邦氏らの旧蔵書、歌人・作家の吉井勇氏の資料、マルクス経済学者河上肇氏の文庫などが挙げられます。さらに、日本画家で風俗史家でもあった吉川観方の収集した風俗資料、佐竹コレクションの古典楽器、朏コレクションの郷土玩具など、多様な実物資料も保管されていました。これらの実物資料の管理は、公益財団法人京都文化財団に委託されていました。

建物の老朽化と新館への移転

1963年に開館した総合資料館の建物は、年月とともに老朽化が進みました。そのため、2016年9月に閉館し、南隣に新設された「京都府立京都学・歴彩館」に移転しました。新館は、より快適な環境で資料の保存と公開を行うことを目的として建設されました。2016年12月に一部開館、2017年春には全面開館し、新たな拠点として活動をスタートしました。

京都府立総合資料館の意義

京都府立総合資料館は、単なる資料保管施設ではなく、京都の歴史と文化を伝える重要な役割を担っていました。その所蔵資料は、学術研究のみならず、一般市民の教育・啓発にも大きく貢献しました。移転後も、これらの貴重な資料は「京都府立京都学・歴彩館」で大切に保管・公開され、多くの人に活用されています。

まとめ

京都府立総合資料館は、長年に渡り京都の歴史と文化を支える重要な役割を果たしてきました。建物の老朽化という課題はありましたが、新館への移転により、その活動を継続しています。これからも、同館が所蔵する貴重な資料は、未来への継承のために活用されていくでしょう。 資料館の歴史、コレクション、そして新館への移転という経緯を理解することは、京都の文化遺産を理解する上で重要な一歩となるでしょう。

もう一度検索