人間不信

人間不信とは

人間不信とは、何らかの原因によって他人を信じることができなくなる心理状態を指します。狭義には、社会生活を円滑に営むことが困難になるほどの重度な症状を指しますが、広義には、人間関係におけるトラブルなどが原因で生じる軽度の不信感も含まれます。人間嫌い、厭人（えんじん）、厭人家（えんじんか）などとも呼ばれます。

人間不信の原因

人間不信の原因は多岐にわたりますが、大きく分けると遺伝的要因と環境的要因の2つに分類できます。

環境的要因: 虐待やそれに準ずる環境、犯罪被害（特に詐欺や横領などの知能犯によるもの）、人間関係における失敗体験などが挙げられます。これらの経験が深いトラウマとなり、人間不信を招くことがあります。
遺伝的要因: 生まれつき、他人を信用しにくい、または疑い深い性格を受け継いでいる可能性も考えられます。

人間不信は、社会生活を営む上で深刻な問題となり得ます。精神的な疾患と関連する場合もあれば、そうでない場合もあります。

人間不信と動物

人間不信は、人間同士の関係性において用いられることが多い言葉ですが、動物が人間からの虐待などを受けた結果、人間不信に陥ることもあります。

人間不信が症状として現れる病気

人間不信は、以下の病気の症状として現れることがあります。

社交不安障害（SAD、社交恐怖）
対人恐怖症
自律神経失調症

気分変調症や抑うつ状態でも、人間不信が生じることがありますが、比較的少ないとされています。

人間不信の治療法

人間不信に対する根本的な治療法は確立されていませんが、一般的には精神科医や心療内科医、心理カウンセラーによるカウンセリングや心理療法が行われます。過去のトラウマと向き合い、克服していくことを目指します。

「人は互いに理解し合おうとする存在である」ということを認識できるようサポートすることで、人間不信の克服を支援する事例も報告されています。

人間不信に陥った著名人

ジョナサン・スウィフト：『ガリヴァー旅行記』第四篇「フウイヌム国渡航記」や『桶物語』において人間不信を描いたとされ、作者自身も人間不信であったと広く信じられています。
フィリップ・ラーキン
ヘラクレイトス：哲学者
ヨシフ・スターリン
ロバート・ゴダード

人間不信を主題とする作品

人間嫌い：モリエールの戯曲
アテネのタイモン：シェイクスピアの劇。伝説的なアテネの人間不信家タイモンを主人公としています。
デュスコロス：上記のタイモンをモデルとした劇

特定の集団に対する嫌悪感

特定の集団に対する嫌悪感は、人間不信とは異なる概念ですが、関連性があります。

ミサンドリー：男性嫌悪
ミソジニー：女性嫌悪
外国人嫌悪
ペドフォビア：子供嫌い
若者嫌い
老人恐怖症：老人嫌悪

関連項目

信頼
搾取
集団思考
資本主義
悲観主義（厭世的）
人新世
アンチヒューマニズム
* 坂口征二

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