仮面浪人

仮面浪人とは

仮面浪人とは、大学や専門学校に在籍しながら、別の大学や学部への入学を目指して受験勉強を行うことです。現籍校に在籍していることを隠し、浪人生として受験に臨むことから、この名前が付きました。

概要

仮面浪人は、第一志望の大学に合格できなかった場合に、とりあえず入学した大学に籍を置きながら、翌年の再受験を目指すというケースが多いです。大学に在籍しているため、学生としての身分は保証されますが、同時に受験勉強もしなければならないため、精神的・時間的な負担が大きくなります。近年では日本のみならず、韓国や中国など、受験競争が激しい国でも見られる現象です。

東京大学の合格者に対する調査では、多浪合格者の多くが、2浪目または3浪目から予備校での浪人から仮面浪人に切り替えているというデータもあります。

メリット・デメリット

メリット

学生としての身分を確保できる
第一志望の大学への再挑戦が可能
受験に失敗しても、在籍校に残って卒業を目指せる
大学生活を体験できる

デメリット

二重の負担がかかる
受験に失敗した場合、在籍校での立場が悪くなる可能性がある
学費がかさむ
友人関係やモチベーションの維持が難しい
倫理的な問題（入学枠を奪う）
入学年齢が高くなることによる影響

仮面浪人をせざるを得ない例

大学卒業後に専門学校に入学する場合
高等専門学校の3年次修了者が大学を受験する場合

これらのケースでは、学歴の扱いの関係上、仮面浪人という形にならざるを得ないことがあります。

仮面浪人と呼ばれない例

大学受験予備校の本科に在籍している場合は、仮面浪人ではなく「受験浪人」と呼ばれるのが一般的です。

その他の用法

社会人が働きながら学校への入学を目指すことを「職場仮面浪人」、組織に所属しながら転職活動を行うことを「仮面就活」と呼ぶことがあります。

歴史

仮面浪人という形態は古くから存在し、1921年には京都帝国大学の学生が東京帝国大学を受験し合格したものの、放校処分となる事件も起きました。

1970年代後半から「仮面浪人」という言葉が使われ始め、1980年代には受験戦争の激化とともに増加しました。2000年代には一部大学で仮面浪人サークルが立ち上げられ、近年では私立大学の入学定員厳格化により、仮面浪人が増加傾向にあるとされています。

著名な仮面浪人経験者

多くの分野で活躍する著名人の中にも、仮面浪人を経験した人がいます。

学者: 小柴昌俊、西成活裕など
政治・行政: 小林鷹之、仁坂吉伸など
法曹: 今枝仁、伊藤茂昭など
経済: 安部敏樹、臼井興胤など
作家・出版: 菊池寛、江上英樹など
報道: 田原総一朗、菅沼栄一郎など
芸術・芸能: 水野良樹、佐々木蔵之介など
医学・教育: 荒川英輔、榎木英介など
スポーツ: 中竹竜二、清原正吾など
皇族: 佳子内親王

失敗・断念した著名な人物

仮面浪人に挑戦したものの、目標を達成できなかった著名人もいます。

松岡洋右
山田真貴子
土井敏邦
井上ひさし
岡田龍太郎
徳井義実

仮面浪人は、成功すればより良い進路に進むことができますが、失敗すれば大きなリスクを伴います。そのため、慎重な検討が必要です。

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