佐賀県立博物館

佐賀県立博物館：佐賀の歴史と文化を体感できる総合博物館

佐賀県立博物館は、佐賀県佐賀市城内にある県立の総合博物館です。1970年10月14日、明治百年記念事業の一環として開館しました。その立地は、江戸時代の佐賀城三の丸跡という歴史的な場所で、かつては佐賀大学教育学部の敷地でした。現在では隣接する佐賀県立美術館と通路で繋がっているなど、一体的な運営体制がとられています。

博物館の成り立ちと運営

本館の前身は、1951年に開館した「佐賀県文化館」です。博物館法上の博物館としての登録を受けた同館は、現在の徴古館（佐賀市松原）にあたります。その後、佐賀県による計画を経て、現在の博物館が建設されました。館長をはじめ、運営機構は隣接する佐賀県立美術館と同一であり、両館の連携が強固に保たれています。ただし、収蔵品の分野や展示内容、役割分担については、県内にある他の博物館との棲み分けを含め、議論の余地も残されています。

多彩な収蔵品と常設展示

佐賀県立博物館は、佐賀県の歴史と文化を多角的に紹介する総合博物館です。自然史、考古学、歴史、美術、工芸、民俗学など、幅広い分野の約9000点（2014年3月末時点）の収蔵品を誇ります。常設展示「佐賀県の歴史と文化」では、これらの収蔵品を基に、佐賀の歴史と文化を分かりやすく解説しています。

主な展示内容は以下の通りです。

地質: 佐賀県の地質を特徴づける岩石、鉱物、化石などを展示。屋外にも岩石展示エリアがあります。1970年の開館時に寄贈されたティラノサウルスの模型も、研究史的な価値から現在も展示されています。
生物: 佐賀県に生息する植物、昆虫、野鳥、有明海の生物などを紹介。
考古・歴史: 旧石器時代から近代までの佐賀県の歴史を、出土品や古文書、絵図などを用いて解説。桜馬場遺跡や吉野ヶ里遺跡の出土品など、重要な県内文化財も多数展示されています。
肥前刀: 佐賀城下で栄えた肥前刀の名品を展示。
民俗: 佐賀県の民具や有形民俗文化財などを展示。

また、博物館敷地内には、「縄文アラカシ」の森が広がる「アラカシ広場」もあります。縄文時代に遡るアラカシの実は、1967年に有田町で出土したものです。この広場には、佐賀城の記石や古い石灯篭なども展示され、歴史を感じさせる空間となっています。

充実した施設と利便性

博物館には、以下の施設があります。

茶室「清恵庵」: 佐賀城南堀に面した公園内に位置する茶室。堀口捨己の設計によるもので、有料で貸し出しも行われています。
岡田三郎助アトリエ: 佐賀県出身の近代洋画家、岡田三郎助のアトリエと応接室、女子洋画研究所を移築した建物。明治末期から大正期に建てられた木造洋風建築で、撮影やイベントなどに貸し出されています。
高輪築堤再現展示: 東京都高輪ゲートウェイ駅前の開発工事で発見された日本初の鉄道路線施設「高輪築堤」の一部を、2022年4月に移築・公開開始しました。
企画展示室: 2号室と3号室は、企画展などに貸し出されています。
ミュージアムカフェ「cafe TRES」: 博物館本館1階にあり、飲食や休憩が可能です。

さらに、佐賀県立博物館では、収蔵品の画像や概要をSAGAデジタルミュージアムのウェブサイトで公開しています。

アクセスと開館情報

所在地: 佐賀県佐賀市城内1-15-23
開館時間: 9:30～18:00
休館日: 月曜日、年末年始（12月29日～31日）
観覧料: 無料（企画展は有料の場合あり）
* アクセス: JR佐賀駅から徒歩30分、バス15分、タクシー11分。西九州自動車道佐賀大和ICから車で25分。駐車場あり（無料）。

建物の特徴

博物館本館は、3階建ての鉄筋コンクリート造で、1970年7月1日に竣工しました。十字型をベースとした設計で、1971年には日本建築学会賞（作品賞）を受賞、2003年にはDOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築にも選定されています。

佐賀県立博物館は、佐賀の歴史と文化を深く理解するための貴重な拠点であり、多くの観光客や研究者にとって魅力的な場所となっています。

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