俄

俄（にわか）とは

俄（にわか）は、江戸時代から明治時代にかけての日本で行われた即興の芝居を指します。この演劇形式は、宴席や路上など多様な場で上演され、特に素人が演じることが特徴的です。「仁輪加」や「茶番」といった名称で呼ばれることもあります。

起源と歴史

俄の起源ははっきりしていないものの、天和時代の京島原遊廓でその源流となる芸能が存在したと考えられています。安永時代（1772 – 1780年）には既に俄の芸が記録として残っており、多様なスタイルの演目が登場していました。歌舞伎研究者・佐藤恵理によると、地域ごとに俄の内容は多岐にわたり、コント、踊り、獅子舞、仮装行列、山車などが含まれています。これらは祭りや地域社会の文化に根付いており、素早く形を変えながら発展してきたでしょう。

各地の俄

大阪の俄

大阪では、俄は非常に盛んであり、享保時代からその存在が確認されています。特に道頓堀には専用の舞台が設けられ、江戸（東京）の寄席に進出する芸人も現れました。有名な存在としては村上杜陵が挙げられ、彼の影響を受けた多くの芸人たちが活躍しました。明治時代になると、さらに多くの芸人によって大衆に親しまれ、特に「松竹新喜劇」という今の笑い文化の根源とも言える存在を生み出しました。

九州の俄

九州地方にも独自の俄のスタイルがあります。博多では、幕末には既に俄が活躍しており、明治時代には鬼若組などが組織されるなどしています。博多の俄は、博多弁を用いて駄洒落を交えた手法で演じられ、いまだにその伝統が受け継がれています。肥後や佐賀といった地域でも、俄の活動が見られ、特に戦後の芸人たちによってそのスタイルを保つ努力が続けられています。

江戸吉原の俄

江戸では「吉原俄」としても知られ、遊廓で演じられていたことが特徴です。多くの演者が職業芸人でない素人によって演じられ、特定の芸人による流水のあるパフォーマンスが行われていました。ただし、関東大震災による資料の焼失で、詳細な情報は今日では把握しきれていない部分が多いです。

まとめ

俄は日本の伝統芸[[能]]の一つであり、江戸時代から近代まで数世代にわたって受け継がれてきました。多彩な演目と地域色豊かなスタイルが、現代の日本の漫才や喜劇の発展に大きく寄与していることを忘れてはなりません。今後も、それぞれの地方での伝統的な演技が継承されていくことが期待されます。

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