俵

俵（たわら）について

俵は、米をはじめとする穀類や塩、魚、木炭、石炭などを運搬や保存するために使用される、円筒形の伝統的な容器です。この容器は、菰（こも）と呼ばれる側面の部分と、両端に取り付けられる円形の桟俵（さんだわら）で構成されています。俵は主にわらなどの植物素材で作られ、独特の編み方が施されています。特に米俵には、特有の名称があり、さんだらぼうしやさんだらぼっちと呼ばれています。

俵の構造

俵の製作方法は地域や時代によって異なりますが、基本的には数本のわらを編み込んで菰を作り、その両端に桟俵を付けます。俵は自然素材であるため、目が粗く、籾の保存や近距離の運搬においては問題ありませんが、玄米や白米の運搬では米粒が落ちる可能性がある「目こぼれ」の問題があります。そのため、一般的には外側の俵（外俵）の内側に、さらに俵（内俵）を重ねて使用することが多くみられました。

文化的な側面

俵は穀物の保存や輸送に重要な役割を果たしたため、信仰の対象とされることもありました。特に福俵は縁起の良いものとして知られています。また、俵に似た形状のものとして、筵を封筒状にかがった叟（かます）も存在しますが、時代が進むにつれ、米の保管や輸送は俵から叟、麻袋や紙袋などに移行し、さらに合成樹脂製品の台頭により、俵自体の利用は急速に減少しています。

材料と作り方

俵の素材としては、主にわら、よし（葦）、カヤなどが使用されます。特に北海道の胆振地方では、木炭の出荷にあたり、四角い俵詰にする習慣があり、上級品としてはカヤ、よし、むしろなどが使われていました。

米俵の作り方は、まず菰を編むために専用の俵編み機を使用し、稲わらをしごきながら木槌で打って整えます。それから、木製の重りを利用して藁を編み込み、桟俵は錘で結束した藁束を円盤状に広げ、端を編み込む形で作られます。底部は円筒形にした菰の端を内側に織り込み、桟俵をかぶせて容器として完成させます。米を詰めた後は、桟俵でしっかりと蓋をしますが、時には鉄製の俵締め機を使用することもありました。

俵の容量と内容物

俵は用途に応じて、四斗入りや六斗入りなどが一般的に使用されます。その内容物には米、麦、雑穀、さらには馬鈴薯やサツマイモ、木炭などが含まれています。

文化における俵

俵は日本の文化に深く根付いており、例えば、七福神の一柱である大黒天は米俵に乗っている姿で描かれます。このような信仰や民話も多くあり、落語の中でも「芋俵」という話が存在し、泥棒が芋の俵に隠れ、大店舗に忍び込むストーリーが展開されます。

俵はその機能的な役割だけでなく、文化的にも重要な位置を占めるアイテムであると言えるでしょう。

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