元山仁士郎

元山仁士郎

元山仁士郎氏は、1991年に沖縄県宜野湾市で生まれた日本の政治活動家であり、研究者としての顔も持つ人物です。特に、米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市辺野古への基地建設に関する県民投票を実現するための運動を主導したことで広く知られています。

来歴

沖縄県宜野湾市で幼少期から青春時代を過ごしました。地元の琉球大学教育学部附属小学校、中学校を経て、沖縄県立普天間高等学校を卒業。大学受験の浪人期間を経て、国際基督教大学（ICU）教養学部に入学しました。大学在学中から、学生の視点から社会課題に取り組む様々な活動に関わります。具体的には、特定秘密保護法に反対する学生有志の会（SASPL）や学生グループゆんたくるーに参加。さらに、自由と民主主義のための学生緊急行動（SEALDs）およびその沖縄版であるSEALDs RYUKYUの立ち上げにも深く関わりました。

2016年度には大学を一年間休学し、日本のシンクタンクである新外交イニシアティブにおいてスタッフとして働き、実務的な経験を積んでいます。国際基督教大学を卒業した後は、一橋大学大学院社会学研究科の修士課程に進学し、日米間の外交史を専門に研究を進めています。また、法政大学沖縄文化研究所の奨励研究員も務めています。

主な活動：県民投票の実現

元山氏の活動の中で特に特筆されるのは、2019年に実施された沖縄県民投票を実現するための運動です。大学院での研究を一時中断し、2018年4月に休学。同年4月16日には、辺野古への米軍基地建設に伴う埋立ての賛否を県民全体に問うことを目的とした市民団体「『辺野古』県民投票の会」を設立し、自らその代表に就任しました。

代表として、地方自治法に基づく条例制定の直接請求を目指し、県内各地で精力的な署名活動を展開しました。この運動は多くの県民の支持を集め、法定数を超える署名が集まったことで、沖縄県議会に県民投票実施のための条例制定が直接請求されることとなりました。そして、紆余曲折を経ながらも、2019年2月24日に「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票」が無事実施されるに至りました。元山氏は、この県民投票の実現に向けて中心的な役割を果たしました。

県民投票実施後も、その結果を政治に反映させるための活動を続けています。

その他の活動・出演

県民投票運動以外にも、様々な場で発言や表現活動を行っています。2019年2月25日には、ロバート・カジワラ氏、高野孟氏との対談に参加しました。同年夏には、フジロックフェスティバルに招かれ、玉城デニー沖縄県知事、ジャーナリストの津田大介氏、音楽グループORANGE RANGE|ORANGE_RANGEのYOH氏といった異分野の著名人たちと共にトークイベントに出演しています。

ウェブ番組にも不定期で出演しており、デモクラシータイムスやポリタスTV、エアレボリューションといった番組で自身の考えを発信しています。また、比嘉賢多氏が監督を務めたドキュメンタリー映画『Reunite with My Past Self in Okinawa』（2018年公開）にも出演しています。

著作・論考

共著書として、『あきらめることをあきらめた 戦後71年目のデモクラシー』（かもがわ出版、2016年）があります。また、ジャーナリズムや社会問題に関する論考を様々な媒体に寄稿しています。

主な論考

「県民投票の結果を反映するために──問われる日本の民主主義と報道姿勢」（『Journalism』2019年6月号）
「島風よ運べ」（『ミュージック・マガジン』 2019年2月号）
「もっと風を吹かせる──県民投票で民意を重ねて示す」（『世界』 2018年12月号）
「基地のある〈日常〉から発信する」（『現代思想』2016年2月臨時増刊号）
「世の中は変わりつつある──学生デモに参加しながら考えたこと」（『Journalism』 2014年10月号）
「コンクリートブロックとサンゴ――東京／沖縄、大人／若者」（『世界』 2015年4月臨時増刊号）

元山仁士郎氏は、活動家として具体的な社会運動を推進する一方で、研究者として学術的な視点から日米関係や沖縄の状況を分析・発信するなど、多角的なアプローチで社会課題に取り組んでいます。

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