光前寺

光前寺の概要

光前寺（こうぜんじ）は、長野県駒ヶ根市赤穂に位置する天台宗の別格本山です。山号は宝積山（ほうしゃくさん）、院号は無動院であり、本尊は秘仏の不動明王です。光前寺は信濃五山の一つとしても名を馳せており、また1967年にはその庭園が国の名勝に指定されました。さらに、霊犬早太郎の伝説が語り継がれ、多くの人々に愛されています。

歴史

光前寺の初めは、円仁の弟子である本聖が比叡山を下りたのち、太田切川支流の黒川の滝において不動明王の像を授けられたところに寺を創設したとされています。しかし、古い記録は戦火により失われがちで、具体的な創建年は不明です。信仰の盛んな時期には、武田氏や羽柴氏から保護を受け、時にはその寺領が佐久郡や諏訪郡にまで拡大したこともありました。特に江戸時代には、徳川家光から60石の朱印地を受けており、重要な寺院とされていました。

明治に入ると、塔頭末寺の多くが廃され、徐々に衰退の兆しを見せましたが、今日では歴史的価値と自然美を兼ね備えた観光名所として再評価されています。

早太郎伝説

光前寺には「早太郎」と呼ばれる伝説があります。この物語は日本各地にて語られるが地域によってさまざまなバリエーションが存在します。信濃の山犬が7匹の子犬を産み、そのうちの1匹が光前寺に引き取られたという話が発端です。この犬は早太郎と名付けられ、後に村を襲う怪物から子どもたちを守る英雄的な存在へと成長しました。

1308年には旅の僧侶が怪物の正体を調査中、怪物に狙われた娘を救うため早太郎に協力を仰ぎます。早太郎は僧侶と共に見附村に向かい、怪物との壮絶な戦いの末、見事に討伐します。この勇敢な行為は今でも語り継がれ、早太郎の供養を目的とした大般若経が寺に保管されています。

伽藍・庭園

光前寺は美しい杉林に囲まれており、樹齢数百年の巨木が立ち並びます。寺院内には蘭渓道隆式池泉庭園、築山式枯山水、築山式池泉庭園という三つの庭園があり、ヒカリゴケなどの自然も楽しめます。境内は「光前寺庭園」として名勝に指定されており、訪れる人々に癒しの場を提供しています。

主な文化財には、嘉永4年に再建された本堂、嘉永元年の三門、重要文化財の弁天堂、及び江戸時代に建てられた経蔵などがあります。また、特に目を引くのが約17メートルの三重塔で、長野県の有形文化財に指定されています。

年中行事

光前寺では年間を通じてさまざまな行事が行われています。

• - 1月中旬：厄除祈願祭
• - 1月28日：初不動
• - 4月29日：例大祭

アクセス

光前寺へのアクセスは非常に便利です。JR飯田線の駒ケ根駅から西へ4キロメートル、または駒ケ岳ロープウェイ線バスを利用し、切石公園下バス停から徒歩10分ほどで到着します。中央自動車道からもアクセスしやすい場所に位置しています。

このように、光前寺は歴史的、文化的価値が高い寺院であり、地域の伝説や美しい庭園が多くの訪問者を惹きつけています。

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