児玉広志

児玉広志について

児玉広志（こだま ひろし）は、1969年5月31日に香川県小豆島で生まれた競輪選手で、2015年8月5日に46歳で他界しました。彼は日本競輪学校の第66期生として訓練を受け、言わば「競輪博士」とも称される実力者として知られています。

競輪選手としてのキャリア

高松第一高等学校を卒業後、児玉は競輪学校に入学し、競輪の世界に身を投じました。彼の初出走は1990年に西武園競輪場で行われ、初勝利もこのレースで達成しました。デビューからわずか2年で競輪祭新人王戦を制し、その名を広めました。1996年にはオールスター競輪での勝利を収め、以降はトップ選手としての名声を築いていきました。

児玉の競技スタイルは特異であった。彼は身長が166cmと小柄でありながら、他の選手とは一線を画す戦法を採用しました。四国地区の選手層が薄かったことから、彼は時に他地区の選手のラインを無視し、自らの自由な走りを貫いていました。この無謀とも思える戦法は、後の選手たちに多大な影響を与えることとなります。

競争スタイルと特筆すべき成績

持ち前のダッシュ力を生かした捲りや追込を得意とし、他ラインへの切り込みを行うなど、その独特な競走様式は「一匹狼」「忍者」と称されました。特に好調の際には、ライバルが顔をしかめるほどの素晴らしい直線での伸びを見せ、一着でゴールを駆け抜けることが多々ありました。また、専用の自転車を使用し、より前傾姿勢での走行が彼の特長でしたが、この体勢から起こるバランスの不安定さが原因で数多くの落車を経験しました。

児玉は全盛期において、1992年の競輪祭新人王、1996年のオールスター競輪、2000年のKEIRINグランプリを含む多数のタイトルを獲得しました。通算成績は1625戦319勝、優勝回数は54回に上りました。特に2000年のKEIRINグランプリでの勝利は今なお語り草となっており、ゴール後に走行していた自転車から飛び跳ねて喜ぶ姿は、ファンの記憶に美しい思い出として残っています。

晩年と悲劇

しかし、その華やかな競輪人生も危機に直面します。2015年7月には元交際相手へのストーカー行為が報じられ、逮捕されました。この事件は彼の人生に暗い影を落とし、約1か月後の8月5日、彼は香川県小豆島の自宅で発見されました。顔面が水に漬かっていた状態であり、自殺の可能性が考えられています。彼の突然の死は、多くのファンに衝撃を与えることとなりました。

児玉広志の生涯は、競輪の世界での輝かしい業績と、個人の苦悩が交錯したものでした。彼が残した影響は、今後の世代の選手たちにも受け継がれていくことでしょう。

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