公認心理師

公認心理師について

概要

公認心理師（こうにんしんりし）は、日本における唯一の国家資格を持つ心理専門職であり、心理に関する支援が必要な人々に対して心理状態の観察や分析、心理相談を行う専門家です。この資格は公認心理師法に基づいており、心理支援を必要とする者との相談や、関係者への助言を行い、メンタルヘルスの知識普及のための教育も担います。

資格の背景

日本では以前から心理士や心理カウンセラーの資格は存在しましたが、国家資格としての制度が整備されていませんでした。しかし、国際的に見て心理職の国家資格化は急務であり、2014年に公認心理師法案が国会に提出され、全会一致で成立しました。これにより、公認心理師という新たな資格が生まれました。

法律の成立過程

公認心理師制度が立法化される過程は、複雑な意見調整と長い議論の歴史を経たものでした。2005年に「臨床心理士及び医療心理師法案」が提出されたものの、様々な意見がまとまらず、法案化は見送りとなりました。数年後、心理職に関する協議が再開され、最終的に2014年に公認心理師法案が第186回国会に提出され、その後第189回国会で成立したという流れがあります。

資格の要件

公認心理師は、心理支援の幅広い領域で活動ができる汎用性が求められ、文部科学省と厚生労働省によって共管されています。このため、心理的支援の対象としては医療機関内外を問わず、多岐にわたる人々にアプローチが可能です。

職務内容

公認心理師は以下のような業務を行います。

• - 心理状態の観察・分析
• - クライアントやその関係者との心理相談
• - メンタルヘルスに関する教育・情報提供

名称の扱い

公認心理師は、名称独占資格としてその名を有することを法律で定められています。他の民間資格者は「心理師」と名乗ることが禁止されていますが、混乱を避けるため、既存の「士」のつく民間資格の名称は制限されていません。

活動領域

この資格は医療に限らず、教育や他の関連分野でも活動できるため、さまざまな環境で心の専門家としての役割が期待されています。つまり、学校教育の現場や企業のメンタルヘルスケア、地域の支援活動など、心理的支援を必要とする様々な場面で公認心理師は重要な役割を果たしています。

異なる資格との対比

公認心理師は、臨床心理士と共通の部分がありながらも、養成期間や教育の質などで違いがあるため、日本における心理職としての位置づけも異なっています。臨床心理士は主に医療機関内での心理業務に特化しているのに対し、公認心理師はより広範囲な心理支援を行えることが特徴です。

結論

公認心理師制度は、心理支援の専門家としての地位を確立するために不可欠なものであり、今後もその役割がますます重要になっていくでしょう。心理的な支援を行う上で、公認心理師の存在はメンタルヘルスの向上や社会全体の福祉に貢献するものと期待されます。

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