六人部

六人部（むとべ）

古代日本に存在した職業部、六人部（むとべ）は、「むとりべ」や身人部とも呼ばれた。その職掌や役割は詳細に知られていないが、興味深い伝承が数多く残されている。

概要

六人部に関する説の一つは、節折（よおり）の料の篠を扱う職業であったというものである。しかし、歴史的な記録は乏しく、専門的な役割や日常的な業務については詳しく解明されていない。

この部の存在は、平安時代の右京エリアや美濃国、伊勢国、越前国、紀伊国、そして讃岐国などの他地域にも広がっていたことが確認されている。六人部の伴造氏族には「六人部氏」や「身人部氏」という名称が使われており、無姓の六人部氏は古代の記録で天孫に位置づけられている。これは、尾張連氏のように火明命を祖とする一族であり、各地の神別にもその名が見られる。例えば、山城国神別の記録には「六人部連」が出現し、火明命の子孫であることが強調される。また、摂津国や河内国においても同様の記録が確認され、これらの情報は六人部氏が日本の神話に登場する伝説的な人物たちと深い関連性を持っていたことを示している。

歴史的な記録

『続日本紀』には、755年から757年の間に六人部薬（久須利）が外正六位下から外従五位下に昇進した記事が残っている。さらに764年、769年にも六人部広道の記載があり、このように六人部は当時の政治や官僚制度の中でも一定の地位を持っていた。

823年には、右京に住む六人部連の複数の一族が高貞宿禰の氏姓を授けられたことが記録されており、836年には貞観年間の中で六人部永貞、愛成、広岑が新たな氏姓を賜った事例がある。

美濃国には六人部臣という氏族も存在しており、748年にはこの一族の名が文献に登場する。特に、兵庫県加古川市内の鶴林寺において、718年には身人部春則が伽藍を整備したという記録があり、六人部が地元の信仰に関与していたことも判明している。

教育的な役割

平安時代前期の大安寺の学僧である安澄は身人部氏出身であり、教育や宗教的な活動にも関与していた。 また、909年には従七位上の六人部連春岑が記録されていることから、六人部が官僚制度内でも重要な役割を果たしていたと考えられる。

つまり、六人部は古代日本においてさまざまな名誉ある職務を担い、また地域社会においても影響力を持つ集団であった。

結論

六人部は不明瞭な職掌ではあるものの、古代日本の社会構造や神話、地域信仰に重要な役割を果たしていたことは確かであり、これらの記録を通じて、その存在意義や歴史的な影響を探ることができる。

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