凍傷

凍傷について

凍傷（とうしょう）は、極端な低温に長時間さらされることによって、皮膚や皮下組織に発生する傷害です。この症状は、-1°Cやそれ以下で長時間いる場合でも生じ得るため注意が必要で、初期にはしびれや灼熱感を伴います。

凍傷のメカニズム

冷たい環境に置かれると、体は中枢温度を保つために皮下の血管を収縮させます。しかし、極度の寒さや長時間の寒冷曝露が続くと、この保護機能が逆効果となり、血行が著しく低下します。その結果、血行不全を起こし、皮膚や組織が凍りついてしまいます。特に心臓から遠い部位や、寒い場所に晒されやすい部分が影響を受けやすいです。主に手足の指、耳、鼻、頬などがこのリスクにさらされます。

症状と進行

初期の段階では、皮膚が紫色に変わり、しびれや痛みが生じます。治療が遅れると、色が黒くなり、水疱が発生することがあります（第2度）。さらに進行すると、組織が壊死し（第3度）、最終的には切断が必要になる場合もあります（第4度）。被害を受けた肌は冷たく、黒く変色して見え、触ると非常に柔らかい感じがします。

しもやけとは異なり、凍傷は寒冷に直接的に暴露されたことで引き起こされます。このため、凍傷としもやけは異なる疾患です。

治療方法

20世紀後半までの治療方針では、凍傷部位を急激に温めないようにしていましたが、その後、早急に温めることが効果的であるとされるようになりました。凍傷を治療する際には、まず患者を温かい場所に移し、凍傷した部位を40℃から42℃のお湯に浸けることが推奨されます。この温める処置は知覚や運動機能が戻るまで続ける必要があります。その過程で痛みが強く感じることがありますので、注意が必要です。

医療機関では、加温に加えて、プロスタグランジン製剤や抗生物質、空気圧治療などが行われることがありますが、根本的には加温が中心となります。

予防策

凍傷を予防するためには、極寒や風に注意し、濡れた衣服を避けることが重要です。また、血行不良を引き起こす要因、例えばタイトな服装や姿勢、薬物使用、喫煙、飲酒などを避けることが推奨されます。特に糖尿病患者はリスクが高いため、寒い地域への旅行は避けるべきです。

応急処置として、極寒の環境では温かい服装を整えたり、体を動かして体温を保持することも効果的です。もし凍傷の症状が現れた場合には、直ちに暖かい場所で休むことが非常に重要です。

再発への注意

一度凍傷を経験すると、特に次の数年は同様の条件で再度凍傷にかかりやすくなります。初めの1年は敏感であり、その後も数年続くことがあります。これを考慮して、特に寒冷地域での活動には細心の注意が必要です。

特殊なケースとして、工業環境や化学実験が行われる場所では、液体窒素の取り扱いにおいて凍傷のリスクが高くなるため、適切な保護具の着用が必要です。

結論

凍傷は放置すれば重篤な状態に進行する可能性があるため、早期の対処が必要です。また、適切な予防策を講じることで、凍傷リスクを低減することが可能です。

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