出家

出家について

出家（しゅっけ）とは、仏教徒が世俗の生活を離れ、僧侶として仏教コミュニティに入ることを指します。これは、正しい戒律を授かることから始まり、家庭生活を捨て、専ら修行に励む道を選ぶ行為です。出家は、インドの紀元前5世紀頃に遡り、バラモン教の権威を否定する沙門たちが現れ、解脱への道を追い求めました。その中で釈迦も一員であり、彼に基づく出家の伝統が発展していきました。

出家者は、最初に師から『沙弥戒』や『具足戒』と呼ばれる戒律を受け、修行を開始します。最初の段階では見習い僧とされる沙弥や沙弥尼として出家し、その後、正式な僧侶（比丘・比丘尼）となるための具足戒を受けます。具足戒は多くの具体的な条項から成り立ち、比丘においては約250戒、比丘尼では約350戒があります。これらは、『四分律』などの仏典に基づいて定められ、釈尊が設けたにも関わらず、変更は許されません。

在家と出家の違い

仏教徒は大きく在家者と出家者に分けることができ、在家者は「三帰依戒」や「五戒」を受け、日常生活の中で仏教の教えを実践します。それに対して出家者はより厳密な戒律、すなわち沙弥戒や具足戒を守りながら修行に専念します。特に上座部仏教では、この出家の伝統が重んじられ、初期仏教の教えが今に受け継がれています。

中国と日本における出家の歴史

中国では、仏教が大乗仏教や密教として発展した際、出家制度も影響を受けました。特に奈良時代に鑑真が律宗を導入したことで、具足戒に基づく出家の制度が日本に根付くことになりました。しかし、その後、最澄や他の宗派の影響で具足戒の重要性が軽視され、独自の戒壇が形成されました。その結果、天台宗や浄土真宗など、特定の宗派では出家と在家の境界が曖昧になり、僧侶が社会に融合していく過程が見受けられました。

日本では、明治時代に入ると公的に僧侶の妻帯や肉食が許可され、出家の概念が変化しました。そして、戦後の社会的動向により、出家者としての特徴が薄れ、職業としての僧侶が定着していきました。これにより、本来の出家の精神的優位性も失われつつあり、仏教の戒律から外れる傾向が見られました。

現代の出家制度

今の日本においては、出家者は多くが剃髪していますが、浄土真宗などでは一般的な髪型をしている場合も多くなっています。また、出家者は在家者を指導し、在家者は経済的に出家者を支え合う関係として成り立っていましたが、現代ではその伝統的な役割も変わりつつあります。さらに、チベット[[仏教]]では大乗仏教や密教が混在しながらも、アティーシャにより戒律の復興運動が行われ、現在も多くの宗派が具足戒に基づく出家制度を保持しています。

出家は仏教における重要な概念であり、宗派ごとにその捉え方や実践の仕方は異なりますが、基本的な戒律に基づいた修行は共通の基盤と言えるでしょう。

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