北ウイング

北ウイング

「北ウイング」（きたウイング）は、日本の人気歌手中森明菜による楽曲であり、彼女の7枚目のシングルとして1984年1月1日にリリースされました。この楽曲は、ワーナー・パイオニアレーベルのリプリーズから発売され（EP: L-1663）、同年5月1日には彼女のアルバム『ANNIVERSARY』からの先行シングルとして登場しました。

背景

「北ウイング」は歌詞を康珍化、音楽と編曲を林哲司が担当しています。このコンビは当時のヒットメーカーとして知られ、中森が杉山清貴＆オメガトライブの「SUMMER SUSPICION」を聴いて直接彼らを指名したことで実現しました。曲のタイトルは、他に「ミッドナイトフライト」や「夜間飛行」といった候補が挙げられましたが、中森の提案で最終的に決定されました。中森はこのタイトルに松任谷由実の「中央フリーウェイ」からの影響を受けたとしており、深い意味合いを込めています。

楽曲名「北ウイング」は、成田空港第1ターミナル北側を指しており、情景を思い描かせる名称です。また、「ザ・ベストテン」では、歌詞の内容から日本航空の夜出発の便を想定し、特定の航路が示唆されました。このように、曲には音楽だけでなく多くの背景やエピソードが存在しています。

この楽曲には、続編とも言える「ドラマティック・エアポート -北ウイング Part II-」が1984年10月10日にリリースされ、さらに中森明菜の後の作品でも新録されるなど、楽曲の人気が長年にわたり続いています。2002年にはベストアルバム『Akina Nakamori〜歌姫ダブル・ディケイド』に収録され、2006年にもまた別のベストアルバムに登場。2010年には、中森をモチーフとしたパチンコ台に本曲が搭載されるなど、その影響力は衰えることがありませんでした。

批評

「北ウイング」は、1980年代のアイドル歌謡曲の代表的な楽曲として評価されており、馬飼野元宏氏はその歌唱に注目し、「明菜ビブラート」の原形を見出しました。また、CDジャーナルでは、他のアイドル歌手ではなかなか味わえないしっとりとした歌唱が、魅力的であると指摘しています。歌い方は、囁くような柔らかさと激しい表現力を持ち合わせ、まさに魔性の女性を演出しています。

成績

「北ウイング」は、TBS系音楽番組『ザ・ベストテン』では1984年1月19日に一気に15位から1位に上昇し、2月16日までの5週連続1位を獲得しました。また、オリコンの週間シングルチャートでは、初登場時に2位を記録し、年間ランキングでは9位となりましたが、最終的に61.4万枚の売上に達しました。これにより、楽曲の影響力は音楽チャートにおいても確かなものとなっています。

シングルのリリースと収録曲

シングルのB面には「涙の形のイヤリング」が収録されており、この曲も康珍化が作詞、林哲司が作曲と編曲を手掛けたものです。また、1984年12月15日には「北ウイング／リ・フ・レ・イ・ン」といった特別盤もリリースされ、さらに多くのアーティストにカバーされています。

中森明菜の「北ウイング」は、その歌唱力と楽曲の魅力により、1980年代の音楽シーンにおいて重要な位置を占め、本項ではその背景や批評から多面的に探求されてきたことが分かります。

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