北宇智駅

北宇智駅の概要

北宇智駅（きたうちえき）は、奈良県五條市住川町にある西日本旅客鉄道（JR西日本）の和歌山線の駅です。この駅は、近畿の駅百選にも選ばれており、その歴史と独自の構造が注目されています。

歴史

北宇智駅は、1896年10月25日に南和鉄道の葛駅（現在の吉野口駅）から五条駅、さらに二見駅（後の川端駅）までの路線が延伸した際に開業しました。1904年には関西鉄道が当駅の運営を引き受け、1907年には国有化されました。その後、1909年には和歌山線として正式に名称が制定されました。1963年には貨物の取り扱いが廃止され、1984年には荷物扱いも終了し、無人駅に移行しました。1987年には国鉄分割民営化により、現在のJR西日本による運営が始まりました。

2006年と2007年には大きな構造変更が実施され、駅の運行方式が見直されました。特に2007年3月18日にはスイッチバック方式が解消され、仮設ホームが設けられることにより、単純な構造へと進化しました。また、2018年にはICカード「ICOCA」が利用可能となり、交通の利便性が向上しました。

駅構造

北宇智駅は、地上駅であり、五条方面に向かって右側に単式ホームが1面1線存在しています。駅舎はログハウス風の待合室があり、シンプルながら必要な設備が整っています。駅内には直立式自動券売機が設置されており、バリアフリー対応のためスロープや手すりも備わっています。トイレは駅舎の横に設置されています。

この駅は王寺鉄道部によって管理されている無人駅であり、近年の改修工事で新しい駅舎とホームが建設されました。余剰設備は10年近く残存していましたが、2017年には旧駅舎と信号機器室が解体されました。

スイッチバック

北宇智駅は、2007年3月までスイッチバック方式が必要な特異な構造を持っていました。この方式は、当駅が関西地方で唯一の例であり、開業当初の蒸気機関車時代には必要不可欠なものでした。スイッチバック利用時、列車は引き上げ線から入線しなければなりませんでしたが、電化が進み、蒸気機関車が廃止される中で、この方式の必要性が薄れました。

2006年には安全面を考慮し、スイッチバックを廃止する決定が下されました。スイッチバック廃止にあたり、全列車が北宇智駅を通過し、駅の構内および引き上げ線の切替え作業が行われました。この改修により、南和鉄道の営業距離が短縮され、運賃も値下げされました。

利用状況・駅周辺

奈良県の統計によると、北宇智駅の1日の平均乗車人員は一定の数値を維持しており、周辺にはコミュニティバスやタクシー路線も設けられています。ただし、2021年にはコミュニティバスが廃止されたため、利用者の移動手段が限られています。

隣接する駅は、和歌山線の吉野口駅と五条駅で、快速や普通列車が定期的に運行されています。

おわりに

北宇智駅は、その独特な歴史と構造から、訪れる価値のある駅となっています。無人駅ながら、地域の交通の要所として重要な役割を果たしており、近年の設備の整備によりさらに便利になってきています。

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