北海道南回り新幹線

北海道南回り新幹線について

北海道南回り新幹線（ほっかいどうみなみまわりしんかんせん）は、長万部町から室蘭市を経由し、最終的に札幌市までを結ぶことを想定した計画中の高速鉄道路線で、全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画とされている。

概要

この新幹線の基本計画は1973年に告示されているが、その後具体的な建設に向けた動きはなく、現在のところ着工には至っていない。すでに運行されている北海道新幹線とは別の路線となっており、歴史的な背景を持つ。

背景にある経緯

北海道南回り新幹線はもともと北海道新幹線の南回りルートとして提案されたものであるが、それは倶知安町や小樽市を結ぶ北回りルートが採用された結果、独自の路線として基本計画が決定された。1973年には、経済成長を背景に道内での新幹線整備が真剣に検討されるようになったが、その年に発生した石油危機により、計画は凍結され、全く進展が見られなくなった。

沿革

まず1969年に新全国総合開発計画が決定され、ここに新幹線に関する構想が盛り込まれた。1970年になると全国新幹線鉄道整備法が成立し、経済発展や地域振興を目的とした新幹線の建設が加速することとなった。基本計画においては、長万部町を起点とし、室蘭市を経由、札幌市を終点とするルートが示された。

年表

• - 1967年: 国鉄が全国新幹線網構想を発表。
• - 1969年: 新全国総合開発計画閣議決定。
• - 1970年: 全国新幹線鉄道整備法公布。
• - 1973年: 北海道南回り新幹線の基本計画が確定。

沿線地域の特徴

新幹線の沿線地域である胆振総合振興局は、太平洋側に位置し冬季の降雪量が少なく観光地も点在している。特に洞爺湖町では2008年に洞爺湖サミットが開かれ、多くの観光客が訪れる。仮に南回り新幹線が開通すれば、胆振と道南・札幌の都市間輸送が大きく改善される期待が高まる。

現在の輸送状況

札幌と長万部を結ぶ経路にはすでに高い輸送密度が存在しており、特急列車などの利用によって道央・道南間で年間270万～280万人の利用者が見込まれている。ただし、新幹線開通後、輸送は室蘭本線沿線や長万部以南の地域に特化すると思われている。

火山の影響

この地域には有珠山や樽前山といった活発な火山が存在し、万が一噴火が発生した場合、列車の運行は長期間にわたって影響を受ける可能性がある。このため、リスク管理の重要性が指摘されており、安全対策が求められている。

軌間可変電車の構想

2006年からは北海道新幹線との連携を強化するため、フリーゲージトレインを利用する構想も浮上している。この技術が実用化されれば、駅での乗り換えなしでの運行が可能となるが、最高速度の点で現行の新幹線には及ばないことが懸念材料とされている。

結論

現在も北海道南回り新幹線の建設は具体的進展を見せていないが、もし実現すれば地域経済や観光の活性化に大いに貢献することが期待される。

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