北畠治房

北畠治房の生涯

北畠治房（きたばたけ はるふさ）は、1833年2月20日に大和国平群郡法隆寺村、現在の奈良県生駒郡斑鳩町で生まれました。彼は平岡家の次男または四男であり、父親は平岡久兵衛で、母親は筒井村の宮井伊右衛門の娘でした。平岡家は中宮寺に仕えていた家系です。治房は、早くから学問に励み、漢学や国学、武術を学びました。彼の学びの中には、碇圓意や尾崎庄左衛、柴田多輔などの影響がありました。

勤王家としての活動

治房は、尊王攘夷の思想を持ち、志士たちとも交流を深めました。特に文久3年（1863年）の孝明天皇の大和行幸を契機に、中山忠光に謁見し、名を平岡武夫から北畠治房に改名しました。以降、治房は天誅組の一員として活躍し、戦いを続けました。しかし、天誅組の変は失敗に終わり、彼はその後も逃亡生活を余儀なくされました。元治元年（1864年）には天狗党の乱にも参加し、さらに薩摩に逃げ込むと、そこで忠勇隊を結成しました。

その後、明治維新を迎えると、治房は同志たちと共に行動し、有栖川宮熾仁親王の指導のもとで活動しました。この時期に彼は北畠治房を名乗るようになりました。

官僚としての経歴

明治時代に入り、治房は東京に移り住み、大隈重信の支持を受けるようになりました。明治4年（1871年）には正院御用に任命され、翌年には左院中議生となりました。明治6年（1873年）には目安箱の廃止を提言し、その後司法省でいくつかの職位を歴任しました。具体的には権少判事や少判事、権中判事、判事として勤務し、京都裁判所長や横浜裁判所長、大審院判事なども歴任しました。

しかし、明治14年（1881年）の政変により、彼は免官となります。治房はこの期間中に修進社を設立し、明治15年（1882年）には立憲改進党の結成にも関わりました。再度仕官した明治20年（1887年）以降は東京控訴院検事長に就任後、同院評定官、大審院評定官を経て、明治24年（1891年）には大阪控訴院長に就任しました。

1896年6月5日、治房は司法官としての長年の功績や王政復古への貢献が評価され、正二位に叙され男爵にまで昇進しました。しかし、明治31年（1898年）には司法官を辞職し、1908年5月9日には貴族院男爵議員補欠選挙に当選して議員としての活動も行いました。彼の任期は1911年7月9日に終了しました。

晩年と親族

晩年は郷里の法隆寺村に隠棲しました。治房の家族には長男の北畠具雄が衆議院議員として活躍し、長女シゲ子は東良三郎と結婚し、夫も衆議院議員や弁護士として知られています。

栄典と勲章

北畠治房は、明治時代を通じてさまざまな栄典と勲章を受けました。明治7年には正六位、明治21年には勲三等瑞宝章、明治22年には大日本帝国憲法発布記念章、明治24年には旭日中綬章、そして明治28年には勲二等瑞宝章を受けるなど、多くの栄誉が与えられました。

北畠治房の生涯は、尊王攘夷の志士としての活動や司法官としての功績が際立っており、日本の歴史における重要な人物の一人といえるでしょう。

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